ZTF彗星、順調に増光。2023年1~2月の彗星軌道と見える方角・位置

2023年1月20日

先月もお伝えしたZTF彗星ですが、

2023年1月15日現在、順調に地球に近づいてきており、明るさも当初の予想通り、明るくなってきているようです。

こちらの記事に、詳細なデータが載っておりますが、1月14日時点の明るさは6.5等級ぐらいのようです。
 
■ZTF彗星の詳細データ(COBS様のサイト)
https://www.cobs.si/cobs/comet/2323/



 
この資料によると、このまま順調に地球に近づけば、最接近する2月1日には5.1等級程度の明るさになるということなので、光害の少ない場所で観測すれば、肉眼でも見えるかもしれませんね。

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ZTF彗星の軌道

さてここで、ZTF彗星の軌道を現す面白い動画を見つけたので紹介します。太陽系を俯瞰した位置から見たZTF彗星の軌道がわかります。(CCNY Planetarium様のツイートより)

ZTF彗星は他の彗星と比べて少し変わっていて、地球や他の惑星が公転する平面(黄道面)に対して、垂直に近い角度の平面の上の移動しています。(軌道傾斜109度)

もし、地球の公転軌道面(黄道面)とほぼ同じ面を彗星が移動していれば、「太陽に近づくとき」と「太陽から離れていくとき」の2回地球に接近する可能性があり、観測のチャンスも拡がるのですが、このZTF彗星は、ほぼ直角に地球の公転軌道面を横切るので、その前後しか観測のチャンスはありません。

すごいダイナミックな動きですね。宇宙のスケールの大きさがよく分かります。
僥倖だったのは、ZTF彗星が地球の公転面を横切る瞬間、偶然にも地球がそのすぐ側に存在している、ということです。

この瞬間です。

この距離が0.29AU(AU=天文単位)ということです。
もし地球が太陽の反対側に居たら、肉眼での観測なんてもまったく無理だったでしょうね。

 

ZTF彗星の見える位置

さて、神の視点から見ると彗星の軌道はこんな感じですが、地球から見た星図の中ではどのような軌道で動くのでしょうか? それをわかりやすく絵にしたツイートがあったので、こちらも紹介しておきます。(地人書館/天文手帳様のツイートより)
 
※画像は縦長なので、開いて全体をご覧ください
 



 
1月上旬にはかんむり座の近くにあったZTF彗星ですが、少しずつ北極星の方に向かって移動し、1月31日は北極星のすぐ隣に来ます。そのあたりが明るさのピークになると思いますので、観測や撮影のチャンスですね。(晴れると良いな)

そして、そのあと、黄道面を横切る際、火星のすぐ側を通過します。これも面白い天文現象ですね。すごい偶然です。上手くいけば火星とZTF彗星のランデブーが撮影できるかもしれません。

 

ZTF彗星の見える方角・高さ

星図があっても、目的の星を見つけるのってなかなか難しいんですよね。なので、実際に地上から見た場合に、「どの方角にどれぐらいの高さで見えるのか」という絵を描画してみたのでシェアします。描画にはスマホアプリ「Nebula Book」を利用しています。

2023/1/22 01:00の北~北東の空 ※赤丸の中心がZTF彗星
2023/1/25 01:00の北~北東の空 ※赤丸の中心がZTF彗星
2023/1/28 01:00の北~北東の空 ※赤丸の中心がZTF彗星
2023/1/31 01:00の北~北東の空 ※赤丸の中心がZTF彗星
2023/2/1 01:00の北の空 ※赤丸の中心がZTF彗星

※これらの絵は札幌から見える星空の絵になっています。地域によっては地平線との位置関係が少し違いますのでご容赦をお願いします。

 
はい。
肉眼で見えるかどうかはわかりませんが、これだけ資料があれば、撮影には成功しそうな気がします。北極星の近くなら、ほぼ夜中じゅう見えていますし、探しやすいですからね。

写真撮影という観点では、まずは広角レンズで北極星付近を広範囲で撮影して(ISO6400で露光時間3秒ぐらいかな?)、彗星が写っているかどうかを確認。もし、写っていれば、位置が判明するので、少し長めのレンズに換えて、その部分を拡大して撮影する感じでしょうか。

問題は天気と寒さですねー。
今日も夕方晴れていたので、撮影にチャレンジしようと思ったのですが、深夜になったら厚い雲に覆われてしまいました。しばらくは雲の多い天気が続きそう。2021年に接近したレナード彗星はまったく晴れてくれなくて、観測のチャンスを逃しましたからね・・・

コレばっかりは心配しても仕方ないので、祈りながら待つしかないですね!