サイエンス

宇宙・天体観測

惑星テイアとは? 地球に衝突してその破片が月となったジャイアントインパクト説の仮説上の惑星

「テイア」という惑星をご存じでしょうか? 英語で書くと「Theia」です。「ティア」ではありません。「て・い・あ」です。 2006年に冥王星が惑星でなくなって以来、太陽系の惑星は8個しかありません。 水星・金星・地球・火星・木星・天王星・海王星 この8つです。 おそらく海王星の外側にもうひとつ結構大きな惑星が存在するはずなのですが、現時点ではまだ発見されていません。付近の小惑星の軌道の歪さから推測...
宇宙・天体観測

静岡県で流れない「静止火球」が、中国でまぶしく輝く「巨大火球」が観測される。ふたご座流星群2022

12月14日にふたご座座流星群のピークを迎えました。 札幌は天気が良くなくて、残念ながらまったく観測できなかったのですが、今年のふたご座流星群は結構すごかったみたいですね。 そんなふたご座流星群に関連した2つのニュースがあったので、紹介したいと思います。   静岡県で珍しい流れない火球「静止火球」が観測される 12月14日の夜8時頃、静岡県の富士市で珍しい火球が観測されました。 火球というのは流れ...
サイエンス

異常震域とは? 震源地から遠い地域の方が震度が大きくなる不思議な深発地震

この図は、2022年11月14日の17時09分頃に発生した地震の震度分布です。 これを見ていくつかオカシナことに気がつきませんか? まず1つ目は、最大震度が4なのに、えらく広範囲が揺れていること。 まあこれは、震源が深ければあり得ることなので、それほど不思議ではありません。 問題は次。 図の赤い「×」は震源地で、三重県の沖になります。でも、最大震度を記録しているのは、福島県と茨城県なのです。 震源...
宇宙・天体観測

DART計画成功!衝突の瞬間の映像や衝突後の小惑星の軌道について

先日、NASAが勧めているDART計画のお話を書きましたが、そのミッションが終了し、無事成功したことが確認されました。 いやあ、素晴らしい。これで条件付きではありますが、将来地球が小惑星と衝突しそうになったとき、回避する方法がひとつ確立したことになります。歴史的な快挙ですね! 今回は、そのDART計画の概要のおさらいと、衝突の瞬間の映像、その後の小惑星の動きなどを紹介したいと思います。   DAR...
宇宙・天体観測

小惑星の軌道を変えろ! 探査機DARTを小惑星ディモルフォスに衝突させる実験、9/27に実施

今回は地球を小惑星など天体の衝突から守るためのNASAのプロジェクト「DART計画」のお話です。   地球は常に危険にさらされている 地球の周りにはたくさんの小惑星がびゅんびゅん飛んでいます。飛んでいる、というよりは、一緒に太陽の周りを回っている、という表現が正しいですね。といっても、みんなお行儀良く同じ方向に向かって移動しているわけではなく、細長い楕円形の軌道だったり、惑星や衛星の引力で不規則に...
宇宙・天体観測

探査機エウロパ・クリッパーが完成。その目的と探査計画。木星の衛星の海と地球外生物を調べる旅へ

これは私が2020年に撮影した天体写真です。中央に写っている大きな明るい星は木星。その両側に2つずつ小さな星がありますが、これがガリレオ衛星とも呼ばれる木星の四大衛星で、左からカリスト、イオ、ガニメデ、エウロパという名前です。 今回はこの右端の衛星「エウロパ」を探査するための探査機「エウロパ・クリッパー」のお話です。   NASAの探査機エウロパ・クリッパーが完成 昨日のニュースですが、NASAが...
宇宙・天体観測

史上初、小惑星エレクトラに3つ目の衛星を発見。2つ以上の衛星を持つ小惑星一覧

今回は小惑星の衛星のお話。 一昔前、小惑星には衛星は存在しないと言われていたのですが、近年の観測技術の向上により、今では何百もの衛星が発見されています。 そして新たに3つの衛星を持つ小惑星が登場しました。 今回は、3つ目の衛星が発見された小惑星 エレクトラの話と、2つ以上の衛星を持つ小惑星の一覧を掲載します。 小惑星エレクトラに3つ目の衛星を発見 これは、チリのパラナル天文台にあるヨーロッパ南天天...
宇宙・天体観測

ベピコロンボ探査機が撮影した水星の写真と探査機のツイート

今回は水星探査のお話。 欧州宇宙機関(ESA)と宇宙航空研究開発機構(JAXA)は現在、共同で水星探査計画を進めているのですが、その探査機から写真が届いたようです。   探査機からの一枚の写真 これがベピコロンボ計画の探査機から送られてきた写真です。   いやあ、リアルですね。フライバイ中の撮影なのですが、こんなに鮮明に撮れるんですね。素晴らしい。 このツイートを意訳すると、 こんにちは、水星さん...
宇宙・天体観測

あるのか太陽系第9惑星。公転周期7400年、地球の6倍の質量という新しい分析結果のプラネット・ナイン

今回は宇宙・太陽系のお話。 冥王星がその大きさから「惑星」から除外された2006年以来、太陽系の惑星は、 水星、金星、地球、火星、木星、土星、天王星、海王星 の8つとされていますが、かねてから、「海王星の外側に地球より大きな惑星」が存在しているはず、と考えられています。 海王星以遠の天体の軌道を分析すると、不自然な傾向があり、何らかの大きな天体の引力の影響受けている可能性が高い、ということなんです...
宇宙・天体観測

エリダヌス座の無数の銀河。セロ・トロロ汎米天文台のダークエネルギーカメラで撮影された幻想的な写真

セロ・トロロ汎米天文台で撮影された無数の銀河 今回は天体写真のお話。 上の写真は、チリのセロ・トロロ汎米天文台にある口径4mのビクター M. ブランコ望遠鏡とダークエネルギーカメラによって撮影された天体写真です。 この画像の視野は11.62 x7.48分とのことで、標準的な満月の直径が約30分(60分=1°なので、約0.5°)であることから、長辺が満月の1/3程度の大きさのエリアが写っています。 ...