じゃん・けん・ぽん! 各地のじゃんけんの掛け声と、アメリカで発展した5種類・7種類・25種類・101種類の手の形で争う狂気のじゃんけん

2022年5月13日

知っていますか?
じゃんけんって実はものすごく奥が深いあそびなんです。

今回はじゃんけんにまつわる日本各地のお話と、
不思議な発展を見せたアメリカのじゃんけんについて書きたいと思います。

 

じゃんけんの掛け声は全国で様々だった

先日、じゃんけんのことを調べていて驚いたことがあります。
Wikipediaに以下の記述があったのです。

「手」を出し合うときの掛け声「じゃんけんぽん」は、標準的なものであるが、これには主に地方ごとに様々なバリエーションがある。

 北海道 – じゃらけつほい
 仙台 – 「いしけんぎっ」「じっけっぴっ」
 南東北 – 「じっけった」
 北関東 「じーげんぴっ」
 関西 – 「いんじゃんほい」
 東海 – 「いんちゃんし」
 静岡 – 「じすとっぺ」
 飛騨 – 「じゃんけんしっ」
 山陽 – 「じっけった」
 ※wikipediaより引用

北海道は「じゃらけつほい」??

すみません。50年ぐらい北海道に住んでいますが、聞いたことがありません(^_^;)
もしかすると、一部のローカル地方で使われているのかもしれませんが、少なくとも札幌と旭川に住んでいた私は聞いたことがありませんねー。

ただ、



「じゃ~ん け~ん ぽん!!」

よりも、

「じゃ~ん け~ん しょ!!」

と言うことの方が多いような気がします。おそらくこれは北海道独自の掛け声ですよね。北海道は「~しょ」が得意(?)です。

それにしても、全国でいろいろありますね。

仙台 の「いしけんぎっ」
関西の「いんじゃんほい」
東海の「いんちゃんし」

いきなり目の前でこの掛け声を言われたらびっくりすると思います。なぜ「い」から始まるんでしょう?

でも、私が北海道の「じゃらけつほい」を知らなかったように、ここに載っていない超ローカルなじゃんけんがまだまだいっぱいありそうですよね。そういうのを研究するのも楽しいかもしれません。
 

じゃんけんの歴史と世界のじゃんけん

3種類のジェスチャーなど「三すくみ」のもので争う遊びは古くからアジア各地に存在していたようですが、今のグーチョキパーで争う「じゃんけん」というものは、日本から世界に広がっていったようです。

日本では江戸時代頃から「拳遊び」と呼ばれる遊びが各地あり、それは3種類の手の形で勝敗を決めるような遊びでした。それは地域や時代により、「虫拳」「狐拳」「虎拳」など呼ばれ、それぞれジャスチャーが違ったようですね。

今の形の「じゃんけん」が初めて文献に出てきたのは、明治37年(1904年)の『尋常小学読本 七』の中の、「おにをきめるよ、じゃん、けん、ぽん」という文らしいです。明治時代に入って、拳遊びのひとつとして石・紙・ハサミを出し合う「石拳」というものが広まっており、その石拳が「じゃんけん」という名前に変わっていったと言われています。

そのじゃんけんが、20世紀に日本文化と共に次第に世界に広まっていきました。アジア各国のじゃんけんの掛け声は以下のとおり。

中国 – 「ツアイ イ ツアイ」
韓国 – 「カイ バイ ボ」
インドネシア – 「スイー」
フィリピン – 「ジャンク エンド ポイ」
ベトナム – 「ワン トゥー ティー 」
マレーシア – 「オー ジュス」
タイ – 「ヤン イン ヤオ パカ パオ イン チュップ」
ミャンマー – 「ボー、ジャー、タァ ヌァ、チャイ タァ ゴゥ ニャニャ ピェ」
イギリス「ロック、ペーパー、シザーズ」
アメリカ「ロック、ペーパー、シザーズ、シュート」
ロシア「カーミィェニ、ノージュニツゥィ、ブマーガ」
※引用元
 ・群馬県総合教育センター「外国のジャンケンに挑戦しよう!」指導資料
 ・withnews「「じゃんけんぽん」海外で何と言う?

 

いろいろありますね。日本から広まったのに、「じゃん けん ぽん」と言うのが日本だけ、というのも興味深いです。

その国の言語における、グー・チョキ・パーを並べたものが多いようですが、インドネシアみたいに一言のところもありますね。

また、2002年にはカナダにおいて「The World Rock Paper Scissors Society(国際じゃんけん協会)」という組織が誕生しました。この組織は、世界各地のじゃんけん系ゲームのルールを統一し、世界大会を開くのが目的と言うことで、実際に、この年から年1回、じゃんけんの世界大会が行われています。

 

アメリカで生まれた発展系じゃんけん。5種類や7種類、最大101種類の手の形が!

アメリカを含めた英語圏では、じゃんけんのことを「Rock paper scissors」と呼んでいます。これは、グー・パー・チョキを単純に英語にしただけの言葉です。

rock → 岩(グー)
paper → 紙(パー)
scissors → ハサミ(チョキ)

ここまでは、日本から渡ったじゃんけんがほぼそのままの形になっていることがわかります。でもですね、アメリカではこのじゃんけんをさらに発展させた遊びがあるようなのです。

英語のWikipediaのじゃんけんのページにはこんな記述があります。

Additional weapons
Generalized rock-paper-scissors games where the players have a choice of more than three weapons have been studied. Variants in which the number of moves is an odd number and each move defeats exactly half of the other moves while being defeated by the other half are typically considered. In the case of some 5-, 7-, 9-, 11-, 15-, 25-, and 101-move versions the moves have been named in analogy with the game rock-paper-scissors.Adding new gestures has the effect of reducing the odds of a tie, while increasing the complexity of the game. The probability of a tie in an odd-number-of-weapons game can be calculated based on the number of weapons n as 1/n, so the probability of a tie is 1/3 in standard rock paper scissors, but 1/5 in a version that offered five moves instead of three.
Wikipediaより引用

 

これを機械的に翻訳するとこうなります。(DeepLの無料版によります)

【追加の武器】3種類以上の武器から選択できる一般的なジャンケンゲームが研究されている。手数が奇数で、各手が他の手のちょうど半分を倒し、残りの半分に倒されるようなバリエーションが典型的に考えられている。5手、7手、9手、11手、15手、25手、101手のバージョンでは、手の名前がゲームじゃんけんになぞらえて付けられている。新しいジェスチャーを加えることは、ゲームの複雑さを増す一方で、引き分けの確率を減らす効果がある。奇数武器ゲームにおけるタイの確率は、武器の数nに基づいて1/nとして計算することができるので、タイの確率は標準のジャンケンでは1/3であるが、3手の代わりに5手を提供したバージョンでは1/5である。」
 

なんと!
じゃんけんの手の形が3種類だと「あいこ」の確率が高いから、もっと手の種類を増やしてしまおうという話です。これは面白い! 5種類になればあいこの確率は1/5になりますもんね!



ということで、考案されたのがこれ。手のジェスチャーの数が5種類あるバージョンです。

手のジェスチャーが5種類あるじゃんけん。
DMacks, CC BY-SA 3.0, via Wikimedia Commons

 

一般的なじゃんけんの「rock」「paper」「scissors」に加えて、「Spock」「lizard」が増えています。Spockはスタートレックのミスタースポックのことだと思われます。lizardはトカゲ。

この図の矢印の向きは勝ち負けを現しています。
Spockは、scissorsとrockには勝ちますが、paperとlizardには負けます。
lizardは、Spockとpaperに勝ちますが、scissorsとrockには負けます。

こうやって、「じゃんけんぽん♪(実際は違う掛け声)」で、好きなジェスチャーを出して、勝敗を決めるようです。

 

わかりにくっ!!

 
これ、見た瞬間に勝ち負けがわかるのかなぁ・・・
私は覚えられる自信がありません。

で、もとのWikipediaの記述に戻りますが、かなり聞き捨てならないことが書いてあります。

「In the case of some 5-, 7-, 9-, 11-, 15-, 25-, and 101-move versions・・・・」

こ、これは・・・・
5種類だけじゃなく、7種類、9種類、果ては101種類のバージョンがあると?!

まさかとは思ったのですが、調べたら本当にありました(絶句)

「umop.com」というサイトで紹介されています。

 
手のジェスチャーと勝ち負けの相関図だけを紹介しましょう。画像は一部を除き、umop.comからの引用です。

RPS-7 手の形が7種類あるじゃんけん
RPS-9 手の形が9種類あるじゃんけん。手の形が難しいぞ
RPS-11 手の形が11種類あるじゃんけん。もう覚えられない・・・
RPS-15 手の形が15種類あるじゃんけん。勝敗表が必須のゲーム
RPS-25 手の形が25種類あるじゃんけん。ワロスワロス

RPS-101 手の形が101種類あるじゃんけん。この図だけumop.comから削除されていたため、別途調達しました

 

えーと???(汗)

9種類ぐらいのまではなんとか遊べそうですが、それ以降は覚えるのに一苦労というか、無理なような気が・・・。
本当に遊ばれているのか、疑わしいレベルです(^_^;)
でも、まあ、ネタとしては面白いです。

というか、最後の101種類のは何かの意地で作ったのでは・・・。作るのに1年もかかったらしいですし。25種類の次が101ですからね。なぜその間が無いんだ、って感じです。

101種類の場合、勝敗の組み合わせが5050通りあるので、勝敗表だけでもものすごいページ数になりそう。このサイトによると、オンラインに勝敗を判定するページがあるみたいですが、フラッシュで作成されているので、もう利用できなくなっています。(Flash Playerのサポートが2020年12月で終了)

仕組みだけがあって、実際には遊べないパターンですね(笑)

いやいや、じゃんけんも奥が深い。
こんなに世界で親しまれているじゃんけんの発祥が日本というのは誇らしいですね!