一番画数の多い漢字と一番画数の少ない漢字のまとめ。79画・84画・108画・128画・144画の漢字

2023年9月19日

今回は世界一画数の多い漢字と世界一画数の少ない漢字のお話。

2年ほど前に、「最も画数が多い漢字「びゃん」58画「たいと」84画、書けますか?読めますか?」という記事を書いたのですが、いまだに毎日たくさんのお客さんが来てくださっています。こういう漢字雑学に興味がある方がたくさんいらっしゃるんだなーとしみじみ思います。

その後、画数の多い感じについて新しい発見もありましたので、今回は画数が多い漢字、少ない漢字について、情報をまとめてみたいと思います。

 

世界一画数が少ない漢字

これ、書く必要あるのか、という感じですけど、一応書いておきますね。

一番画数の少ない漢字は、

「一」
「乙」

です。画数は1画。 

「丶」「乀」「乚」など、他にもあることはあるんですけど、常用漢字ではこの2つのみです。

参考に2画の漢字も紹介しておきましょう。こっちはたくさんあります。

「二」「七」「八」
「九」「十」「人」
「入」「力」「刀」
「丁」「又」「了」



 

世界一画数が多い漢字

これは実は奥が深くて、「漢字」というものの定義によって答えが変わってきます。例えば、

■ 常用漢字で最も画数が多い漢字

「鬱」 29画

書けと言われても書けませんが、まだまだ常識的な画数ですよね。

 
■ JIS第一・第二水準漢字で最も画数が多い漢字

「驫」 30画
「鸞」 30画

JIS第一・第二水準はコンピュータなどに使われている漢字コードのベースになっているものですね。

 
■ 大漢和辞典(大修館書店)で最も画数が多い漢字

(テツ) 64画
(セイ) 64画

大漢和辞典は世界最大の漢和辞典です。これに載っていない漢字は、使われることがほぼ無いと思って良さそうです。

 
という漢字で、あ、感じで、定義によって回答が変わってしまいます。このあと説明しますが、世の中には「創作漢字」と言って、既存の漢字を組み合わせたりアレンジしたりして、面白おかしく作られる漢字があるんです。そんなのも含めたら、完璧に調べることは不可能ですし、やろうと思えば、今私がここで作ってしまうこともできるんですよね。

ということで、今回は、

「一応、使用例や文献、マスコミなどで紹介されたことがある漢字」

という括りでお話ししたいと思います。

まずは58画からスタートします。どこまで数が増えるかお楽しみに!

56画の漢字


(びゃん)

以前の記事でも紹介した漢字ですが、「びゃん」と読むこの漢字が56画です。(前回の記事では58画と紹介しましたが、56画でした。てへぺろっ)

漢字の起源はハッキリしないようですが、平たいことを意味する「扁扁」が訛ったものではないかと言われています。しっかりした使用例もあって、中国陝西省で一般に食べられている幅広の麺が「びゃんびゃん麺」という名前で、この漢字を使います。

びゃんびゃん麺屋さんの看板。Wikipediaより

 

64画の漢字

(てつ)
(せい)

上でも紹介した大漢和辞典に載っている最も画数の多い感じです。
このように同じ漢字を2つ、3つ、4つ並べた漢字は結構多く、使用例もそれなりにあるようです。

昨年書いた以下の記事も参考にしてください。

 



76画の漢字


(かがみ)

64画の「てつ」、「せい」と同じように同じ文字を4つ並べた漢字です。「鏡」が4つで76画。「かがみ」と読むようです。これの使用例は1つで、宮沢賢治さんの詩集「春と修羅」の中に登場するだけです。宮沢賢治さんの創作漢字と言われています。ひとつだけでも「かがみ」なので、なぜ4つ並べる必要があったんでしょうね? 天才の考えることは常人には理解できないのかな?

 

79画の漢字


(おおいちざ)

これが難解です。エクセルで漢字を無理やり並べて上の画像を作ってみましたが、これでいいのか自信がありません(汗)これで「おおいちざ」と読みます。

初めて使われた際の原盤はこれらしいです。

この漢字は、江戸時代の戯作者である恋川春町(こいかわはるまち)さんが創作したもので、その著書のスキャン画像が上のものになります。「おおいちざ」=「大一座」。なんとなく料亭などを利用した多人数の集会、みたいなイメージでしょうか。

これについては、使用例はこれに限らず、このあとの時代に作られた川柳にたくさん出てくるとか。なんで書くのもたいへんなこんな漢字が使われるのでしょう?? 普通に「大一座」って書いたのではダメだったのでしょうか? おそらく微妙な意味合いが違うんでしょうね。

 

84画の漢字


(たいと、おとど)

キタ――♪ o(゚∀゚o) (o゚∀゚o) (o゚∀゚)o キタ――♪ って叫びたくなりますね(笑)
以前の記事でも紹介した漢字ですが、現時点で実際に使用例がある中で最も画数が多い漢字だと思います。

「たいと」もしくは「おとど」と読む漢字で、元々は、「日本で苗字・名前として用いられたとされる漢字」なのですが、出典が不明であるため、真偽はわかりません。

それじゃ「使用例がある」ことにはならないのですが、この漢字が「世界で最も画数が多い漢字」として広まったため、飲食店の店名にこの漢字を使った方がいらっしゃいます。「肉玉そば おとど」という店名なので、画像検索してみてください。



 

108画の漢字


(ぼんのう)

これ、結構有名な漢字です。これがひとつの漢字で「ぼんのう」と読みます。もちろん、常用漢字ではなく、JISの第1~4水準にもありません。一般に言う「創作漢字」の1つです。でも、これは私が「漢字というものは何か?」という問いに深く考えさせられた漢字です。

「ぼんのう」というのは仏教の言葉で、「人の苦の原因」というニュアンスのものです。宗派によっていろいろ違うようですが、一般にはぼんのうの数は108と言われています。除夜の鐘は108つですが、これは108のぼんのう=苦しみを滅するという意味があるようです。

さて、この漢字は108画なんですが、これはもちろん偶然ではありません。制作者が、ぼんのうの要素である文字を組み合わせて、108画の漢字を作り上げたんです。これってすごいことだと思うんですよ。世界にたくさんある他の創作漢字とは一線を画しているように思います。「画」の話だけに・・(ぉぃ)

制作者のサイトを見つけたので、リンクしておきますね。いろいろ考えさせられますよ。

※上の画像は制作者のサイトより引用しています。

 



128画の漢字


(ほう、びょう)

これはもう「なんじゃこりゃ」の世界ですね。漢字と言うより絵では?
あ、もしかして2次元バーコード?!

この漢字は中国の古字ということで、今は使われてないそうですが、かつては実在したようです。読みは「ほう」「びょう」で、雷の音を意味するとか。

何もここまで似た文字を繰り返すことはないように思うのですが、どういういきさつがあってこの字が生まれたのか興味がありますね。何かの形を表現しようとしたのではないでしょうか?

 

144画の漢字

さてさて、クライマックスですよ! 最後は144画の漢字!


(ごつ)

龍が4つで「てつ」、そして9つになると「ごつ」になるようです。一文字の「龍」は16画ですので、9つで16×9=144画! 意味は「よくしゃべる人」らしい。

これはすごい。こんな漢字があったなんて! まさに「世界一画数が多い漢字」ですね!!

と思い狂喜したのですが・・・

微妙にこの漢字、根拠が乏しいのです。一応、2013年01月23日のテレビ番組「タカトシの時間ですよ」で紹介され、大学の中国語の准教授が解説していたらしいですが、なんと、この広大なネットの海の中で、それ以外の出典が出てこないのです。

たとえそれが中国のとある地方で使われているマイナーな漢字だったとしても、全く検索にかからないなんてことがあるのだろうか?

ということで、このあたりは今後の研究課題ですね。

 

<おまけ>1024画の漢字・1025画の漢字

おまけです(笑)
画数の多い漢字をいろんな角度で調べてみたのですが、その中で「1024画の漢字」という言葉が一人歩きしていました。実用性の無い創作漢字だとは思ったのですが、それにしてもどんなものなのか見てみたくてかなり探しました。

要するに、こういう漢字だそうです。

『「人」という漢字を512個並べて、それを円で囲ったもの』
(気が向いたら画像を作ります(笑))

読み方は「だいだんえんでひとをむかえる」

 
ん~~??

無理やり感がひどいな。しかも、円の部分の画数は無視? これだと1025画ですよね?

 

<おまけ2>1032画の漢字?【追記】

いろいろと画数の多い漢字を調べていると「1032画の漢字」というウワサも出てきました。
と言っても1024画の漢字と同じく、ウワサだけが一人歩きしたものではないかと思います。

ハッキリと明言された事例はなかったですが、おそらく上の「だいだんえんでひとをむかえる」の亜種なのではないかと推測されます。