NASAの探査機エウロパ・クリッパーの打ち上げが成功しましたね!
木星の衛星「エウロパ」を探査する探査機エウロパ・クリッパーが、日本時間2024年10月15日(現地時間14日)、ケープ・カナベラルの39A発射台から打ち上げられました。
打ち上げの映像があったので貼っておきます。
日本語のニュースも。
NASAの打ち上げの中継動画も見つけたのですが、2時間半もあるので割愛します(笑)
これからこの探査機は、6年もの長い長い旅に出ます。木星付近に到着するのは2030年。日本のはやぶさシリーズよりもはるかに長い旅路ですね。
Wikipediaにエウロパ・クリッパーのイメージ図があったので引用しておきます。
エウロパ・クリッパーってどんな探査機?
エウロパ・クリッパーについては、2年ほど前に記事にしているので、概要だけ説明します。
今読み返すと、この記事の時点で打ち上げが2024/10/10と書いてありますね。2年前の情報と5日しかズレなかったのはすごい(笑) ハリケーンが来なければ予定通り10月10日に打ち上がったみたいです。
探査機エウロパ・クリッパーの目的は木星の四大衛星の1つ、エウロパを調査することです。イオでもなく、ガニメデでもなく、土星のタイタンでもなくエウロパを調査対象に選んだわけは、エウロパが太陽系の天体の中で最も地球外生命が存在する確率が高い天体だから、です。
エウロパはその表面のほとんどが氷で覆われています。そして、その氷の下には、地球の海の2倍以上の液体の水が存在すると考えられています。分厚い氷の下なので、直接その水を覗くことはできませんが、様々な観測機器を駆使して、生命が存在できる環境かどうかを調べるのが、このエウロパ・クリッパーの目的、グランドクエストです。
と言っても、エウロパ・クリッパーはエウロパに着陸するわけでも、エウロパの周回軌道に乗るわけでもありません。木星の周回軌道に投入され、衛星エウロパはフライバイを繰り返しながら調査を行います。フライバイの回数は49回とか。これでエウロパの全体がマッピングできるらしいです。
当初はエウロパの周回軌道に乗せる予定だったみたいですが、エウロパは木星に近い位置にあるため、その周回軌道に乗せてしまうと、常時木星からの放射線を浴びることになるということで、木星に対して大きな楕円形の軌道に乗せる方法を選択されたようです。いろいろあるんですねー。
エウロパ・クリッパーのミッションはどんなもの?
エウロパ・クリッパーの主なミッションは、以下の通りです。
■エウロパの地下海の存在確認
レーダーを用いて、氷の厚さや地下海の深さを測定します。
■生命の痕跡の探索
分光計を用いて、氷の成分や有機物の存在を調べます。
■エウロパの表面環境の調査
カメラやレーザー高度計を用いて、表面の地形や組成を詳しく調べます。
■放射線環境の測定
エウロパの強い放射線環境が、生命の存在にどのような影響を与えるか調査します。
エウロパ・クリッパーっはどうやって木星まで行くの?
この探査機は木星まで6年の歳月をかけて移動します。それはどんな旅路なのでしょう?
遠くの天体まで行く探査機って、昔は最短距離でまっすぐ行くと思ってたのですが、全然違うんですよね。実はそんなに単純ではないのです。
太陽系の中を航行する探査機は基本的に太陽を中心とした螺旋を描くように移動します。太陽の引力が大きいため、そうしないと太陽に墜落してしまうんですね。
そのため、木星が目的地だったとしても、その最短距離の何倍もの距離を移動します。
太陽の引力を振り切るぐらい高速で打ち上げることも可能だと思いますが、コストがかかります。
螺旋状に進むのは言わば「経済コースだから」ということですね。
しかも、今回はただ周ってるだけではありません。
2024年10月に地球を発ったエウロパ・クリッパーは、2025年2月に火星をスイングバイ(天体の引力と公転を利用して速度を変化させる技術)して加速、2026年1月には地球をスイングバイしてさらに加速します。
最後の地球スイングバイで、木星まで到達する速度まで加速し、2030年に木星に到着します。なので、最初の2年ぐらいは地球のそばにいるんですね。地球スイングバイのとき、観測できるかな?
Wikipediaに、エウロパ・クリッパーの木星までの移動ルートを表現したGif動画がありましたので引用します。
紫の点がエウロパ・クリッパー、黄色が太陽、緑が木星、青が地球、金色が火星です。
火星スイングバイ、地球スイングバイの様子がよくわかりますね。これは面白い。
そんな長い旅の果てに木星に到着するのは2030年。まだまだ先ですが楽しみに待ちましょう!