すごい写真を見つけたのでシェアします。
ハワイのジェミニ天文台が撮影したもので、赤い雷と青い雷が同時に写っています。
ハワイのジェミニ天文台が、「レッドスプライト」と「ブルージェット」を同時に撮影した。これらの放電現象は、いずれも撮影するのが難しいものだ。 https://t.co/5OAcAazbqZ |Business Insider
— Business Insider Japan (@BIJapan) February 26, 2021
私が見つけたのは上記のニュース記事ですが、写真の元データはこちら(広告の下)にあります。
フルサイズのオリジナル画像もダウンロードできるので、興味のある方はどうぞ。
超高層雷放電、レッドスプライト、ブルージェットという発光現象
それにしてもすごい写真ですね。右側下方にある光るドーナッツみたいなところから、上向きに稲妻が伸びており、色が「白→青→赤」と変化しています。
説明が無いとわからないのですが、この光っているドーナッツが雨雲のようです。通常、雷というものは雨雲から地面に向かって落ちていきますよね。その雨雲から上に、要するに宇宙に向かって雷が落ちる、いや昇るってことがあるんですね、これはビックリ。
この雨雲から上に伸びる稲妻は「超高層雷放電(ちょうこうそうかみなりほうでん)」と呼ばれる現象で、その名の通り、高度20~100kmという超高度で発生する放電による発光現象だそうです。
高度20~100kmというと、成層圏・中間圏・下部熱圏にあたります。ホリエモンのロケットが上空100kmを超えることを目標としていましたが、それはそこから先が「宇宙」と呼ばれているからなんですよね。なので、この超高層雷放電は、宇宙の手前まで届いているということになります。
そして、
この上の赤い稲妻の部分は「レッドスプライト」と呼ばれており、主に中間圏で発生するようです。
その下の青~白い稲妻の部分は「ブルージェット」と呼ばれており、主に成層圏で発生するようです。
私も実際にこの放電現象を見てみたいですが、これらは雨雲の上で発生するので、通常は観測するのがとても難しいようです。この写真のように、雨雲を横から見られるようなロケーションから観測するか、雲の上を飛ぶ飛行機や宇宙ステーションから観測するしかありませんね。
しかも、放電は1/10秒ぐらいで終わってしまうので、それを視認するのは難しいかもしれませんね。ん?なんか光った?って感じかと。実際、この超高層雷放電が始めて撮影された1989年までは、「目の錯覚」と言われていたそうです。
なぜ雨雲の上方に雷が発生するのか?
ではなぜ、雨雲から宇宙に向かって雷が発生するのでしょうか?
雷というのは、電気の流れであることは周知の事実ですが、雨雲と地球(地面)の電位の差によって、放電が発生します。一般的に雨雲の法が電位が高いので、プラスの電荷が地上に向かって放出されることが多いようです。
もし、どんどんプラスの電荷が地面に落ちていったら、雨雲の中ではマイナスの電荷だけが増えていくことになります。通常はプラスの電荷とマイナスの電荷が対になっていますからね。
そこで、貯まってしまったマイナスの電荷は宇宙に向かって放出される、ということらしいです。そうやって電気的なバランスを取ってるんですね。
とは言え、この超高層雷放電については、まだまだ研究途中の現象のようなので、分かっていないことも多いようです。これから新しい事実が発見されることもあるんでしょうね。2021年のサイエンスでも分からないことがあるというのは、なんだか楽しくなります。宇宙は不思議がいっぱいなのですね。
私はカメラを趣味にしていますが、昔から「雷の写真」を撮ってみたいと思っていました。でもまだ成功していません。あんな一瞬の出来事を捉えることは至難の業ですし、そもその雷の日に撮影に出かけること自体、大変なことです。
そういうことを考えると、今回のこの超高層雷放電の写真はとても貴重な一枚ですよね。私もこんな写真を撮ってみたいです(笑)