本日(2021/3/21)15時07分、カザフスタンのバイコヌール宇宙基地から日本の人工衛星が打ち上げられます。
その人工衛星の名は「すいせん」。福井県民衛星プロジェクトによって製作され打ち上げられるという、日本初の地方自治体主導による人工衛星です。
今回は福井県民衛星すいせんの概要とプロジェクトの目的などを紹介したいと思います。
福井県民衛星プロジェクトとは?
それにしても驚きました。ホリエモンとか工業大学とかが人工衛星を上げるなら分かりますが、福井県という地方自治体が人工衛星を上げるなんて、何が起こったのかと思いました。一昔前は国家プロジェクトでしかなかった宇宙開発も、少しずつハードルが下がって来たということでしょうか。
まず、なぜ地方自治体が人工衛星を作ろうと思ったのか? 1年ほど前のインタビュー記事を見つけたのでシェアします。
以下、抜粋になります。
◆福井県産業労働部 牧野氏
福井県が平成22 年に策定した経済新戦略という政策の指針を改訂する際(平成27年)に、「人口減少が進む中、繊維メガネに次ぐ新産業を目指すべきだ」という話となり、そのなかで「宇宙分野がいいんじゃないか」という意見が出てきました。検討の結果、やろうとなりました。
これが「福井県民衛星プロジェクト」の始まりのようです。
すごいですね。福井県はもともと繊維とめがねの生産で有名でしたが、経済新戦略の中で第三の産業という位置づけで「宇宙分野」という発想になったみたいです。
宇宙分野というのは、まったく次元の違う世界で、素人が手を出せない分野というイメージがあるのですが、福井県はその部分が果敢に攻めたんですね。実際のところ、ゼロからのスタートだったということで、大変な道のりだったと思います。これが平成27年のことなので、それから6年後に打ち上げとなりました。これは宇宙開発のジャンルのタイムスパンとして、かなり速いと思います。
でも、人工衛星を打ち上げてどうするのか、それが自治体の利益に繋がるのか、というところが気になるところですよね。
目的は「製造業の発展」と「衛星データの利活用」
福井県はこのプロジェクトの目的を、「①製造業の発展」と「②衛星データの利活用」だと言っています。
①県内の企業が人工衛星を作ることで、宇宙分野での物作りのノウハウを収集・蓄積し今後の事業に活かすことがひとつ。
②衛星を使っての県土の写真を得ることで、行政の様々な分野の最新の情報を得ることが2つ目。
なるほど、一石二鳥というワケですね。
上で紹介したインタビュー記事によると、実際、すでに超小型の人工衛星をユニット化し、量産できるところまで進んでいるらしいです。すごいですね。しかも海外を含めた各所からの受注もあるみたいで、まさに狙いどおりの展開になっています。
衛星写真に関しては2週間に1回最新の写真を撮影できるとのことで、Googleが提供しているものよりも遥かに鮮度が高い情報を得ることができます。
最初は「なぜ県が人工衛星を?」と思いましたが、こういう話を聞くととても有意義なものであることがわかりますね。私もわくわくしてきました。
福井県民衛星「すいせん」の主な仕様
さて、そのすいせんとは、どんな人工衛星なのでしょうか?
小さいですね。長辺でも1mありません。太陽電池パドルが無いというのも特徴的です。太陽電池は外壁面に貼っていますね。はやぶさ2がリュウグウに放った小型探査機ミネルバ2を思い出します。
底面にはメインとも言うべき望遠鏡やカメラがあります。地上分解能が2.5m/pixelと言うことなので、かなり詳細なデータが得られますね。
スタートラッカーは姿勢制御するためのセンサーですね。実際の姿勢制御のための軸回転機構がどうなっているかこれだけでは分かりませんが、リアクションホイールが内蔵されているのかな?
今回はあまり詳しい資料が入手できなかったのですが、分かり次第追記しますね。
そんな衛星が本日(2021/3/21)、中央アジア・カザフスタンのバイコヌール宇宙基地からソユーズ2ロケットで打ち上げられます。本当は昨日の打ち上げ予定でYoutubeのライブ中継を見ていたのですが、打ち上げ17分前に延期が伝えられました。
またライブ中継があるかどうかはわかりませんが、無事に軌道に乗ることを祈ってます!
【追記】
打ち上げは3/22に再延期されました。