来ましたねー、ネオワイズ彗星。
こんなに明るくなるとは聞いてなかったので、油断していました。
2020年7月上旬、世界各地で観測され、その明るさは0~1等級という肉眼でも見える明るさになっています。
今回は、ネオワイズ彗星について、見える位置や明るさの変化などの情報をまとめてみました。
ネオワイズ彗星とは?
いろいろと天文関係のサイトを読みあさっている私でも、その名前を聞いたのは最近です。それもそのはず。ネオワイズ彗星は、今年(2020年)3月27日に発見されたばかりの彗星なのです。
最初に与えられた符号は「C/2020 F3」。「C」はコメットのC、「2020」は発見された年号、「F」は発見されたのが3月後半という意味の記号、最後の「3」はその期間で3番目に発見された彗星という意味です。その後、赤外線探査衛星であるネオワイズで発見されたことから、「ネオワイズ彗星」という名前が付きました。
ネオワイズ彗星の軌道は以下の図のようになっています。
近日点では、太陽に0.29au(地球と太陽の距離の0.29倍)まで近づき、水星より内側に入ります。彗星は太陽に近いほど明るく輝き、尾も長くなるので観測しやすくなるのですが、近日点は2020年7月3日に通過してしまっているので、これからは暗くなる一方です。ただし、地球に最接近するのは7月23日なので、観測のチャンスはまだまだありそう。
ネオワイズ彗星の興味深いところは、その軌道が恐ろしく潰れた大きな楕円形になっているところです。先ほど紹介したとおり、近日点(最も太陽に近い点)では、0.29auの距離になるのですが、遠日点(最も太陽から遠い点)では、なんと太陽との距離が715.14auになるのです。地球と太陽の距離の715倍。それはもう太陽系とは言えません。
遙か遠い冥王星でも遠日点が49au、以前紹介した太陽系で最も遠いところにある天体「ファーアウト(2018 VG18)」でさえ、遠日点は168auです。ネオワイズ彗星の715.14auが、いかに遠い距離なのかがわかりますね。
「へえ~、そんな遠くまで行くんだったら、次に戻ってくるのはいつなの?」
良い質問ですね( ̄ー ̄)ニヤリ(←誰も質問していません)
ネオワイズ彗星(C/2020 F3)の公転周期は約6,500年。次に地球のそばに戻ってくるのは、なんと、
西暦8786年頃
だそうです。長生きしないといけませんね(笑)
各地でのネオワイズ彗星撮影事例
良い時代になったもので、天体写真はみなさん、SNSに「撮って出し」してくださるので、すぐに見ることができます。すごいことですよね。
まずは、国立天文台から。
ハワイ時間では今日が七夕です。明け方、北東の空に昇ってきた #ネオワイズ彗星 C/2020 F3 (#NEOWISE) が、すばる望遠鏡があるマウナケア山頂域からはっきりと捉えられました。きれいな尾を引いています。(撮影:田中壱) pic.twitter.com/WoSx3yuqSw
— 国立天文台 すばる望遠鏡 (@SubaruTelescope) July 8, 2020
次は国際宇宙ステーションから撮影した動画です。マジ貴重な映像です。
Comet NEOWISE from ISS, July 5th pic.twitter.com/pAbGdtchAc
— Seán Doran (@_TheSeaning) July 7, 2020
次は北海道陸別町の天文台。
7/4朝に撮影した、ネオワイズ彗星の画像をタイムラプス化しました。約3倍速です。 pic.twitter.com/3WMujnVEzg
— 銀河の森天文台 (@ginganomori_obs) July 8, 2020
個人でキレイに撮れているツイート。
おはよーーーございます。
ネオワイズ彗星、撮れました!
初めて彗星を見ました〜〜〜!すごおおい。 pic.twitter.com/Fylte8oR8m— めりー (@usamerry) July 8, 2020
今日は低空まで空気が澄み渡っていて、ネオワイズ彗星日和でした。薄明の中輝く美しい彗星にうっとりでした…! pic.twitter.com/fgG2AmjQAk
— ささみ (@ssm_oic) July 5, 2020
みんな、すばらしい!!
私も撮りたいです!
ネオワイズ彗星はどっちの方角に見える?
それでは、どうやったら見えるの?というお話をしましょう。
ネオワイズ彗星はつい先日近日点を通過したばかりなので、当然のことながら現在は太陽のそばにいます。なので、地球から見ると、ほとんど太陽と同時に現れて、太陽と同時に沈んでしまいます。
それでも若干太陽よりも早く昇ってくるので、現在のところ、明け方の太陽が昇ってくる直前が唯一の観測のチャンスです。3時頃だと思いますが、そこから1時間観測できるかどうか。方向は北西の方向で、地平線スレスレに見えるはずです。
国立天文台のサイト「今日のほしぞら」ではこの位置になっています。
■2020/7/11 3:00
本当に地平線スレスレですね。日の出時刻が4:05と言うことですので、やっぱり観測できるのは1時間ぐらいしかありません。
このあと、彗星は太陽の反対側に抜けてしまうので、朝方観測できるのは7月15日ぐらいまで。その後は、夕方に見えるようになります。
■2020/7/18 20:00
うんうん。夕方だし、こっちの方が観測や撮影がしやすそう。
ただし、この時点では太陽からかなり離れてしまっているので、暗くなっている可能性が高いです。
上の星図は札幌から見える星図になっているので、皆さんも自分のお住まいの地域でシミュレーションしてみましょう。使い方は簡単なので、すぐにわかりますよ。
あと、こちらのツイートも参考になりますので、貼っておきます。
明け方の北東の低空でネオワイズ彗星(C/2020 F3)が1等で見えているとの報。中旬に入ると日没後の北西の空で見えるようになってくるので、まだまだ明るさを保って、かつ晴れることを期待したいですね。
投稿写真集📸
▶️ https://t.co/dT3vc55j7X
解説ページ
▶️ https://t.co/T71RjZps3s pic.twitter.com/Vp12Z0ibon— アストロアーツ (@AstroArts) July 9, 2020
明るさの変化
さて、この後夕方観測できるようになることがわかりましたが、気になるのは、どの程度の明るさになるか、というところですね。
近日点通過直後は1等級とも言われていましたが、さすがに来週以降にその明るさは期待できなさそうです。
こんなツイートを見つけました。
ネオワイズ彗星(C/2020 F3 (NEOWISE))の等級グラフを久々に。実際には、0等級という報告はほとんど無いようですが、どのくらいの明るさなんでしょうね。尾が目立つのが印象的です。 pic.twitter.com/bAmqHwhYFz
— 佐藤幹哉 (@kaicho_sato) July 8, 2020
ネオワイズ彗星の明るさ(等級)の予測です。
これで行くと、8月1日には5等級ぐらいまで落ちてしまいますね。ここまで行くと、肉眼での発見は難しそうです。やっぱり早くやらないと。
国立天文台のネオワイズ彗星の特集ページには、以下のように書いています。
7月10日頃 約2等
7月15日頃 約2等
7月20日頃 約3等
7月25日頃 約4等
7月30日頃 約5等
うーん。やっぱり上のグラフとほぼ同じですね。
ちなみにこのページ、いろいろ書いてあるので、とても参考になります。是非見てみてください。
さてさて、まだまだ書き足りないけど、もう遅い時間なので、今日のこの辺で。
近々また追記するかもしれません。
【追記2020/7/16】
ネオワイズ彗星の撮影に成功しました!
こちらの記事でシェアしています。ザラザラですけど(?)、よかったらどうぞ。
http://noah.n43foto.com/archives/3737