今回は地球を小惑星など天体の衝突から守るためのNASAのプロジェクト「DART計画」のお話です。
地球は常に危険にさらされている
地球の周りにはたくさんの小惑星がびゅんびゅん飛んでいます。飛んでいる、というよりは、一緒に太陽の周りを回っている、という表現が正しいですね。といっても、みんなお行儀良く同じ方向に向かって移動しているわけではなく、細長い楕円形の軌道だったり、惑星や衛星の引力で不規則に動いたりする小惑星もあります。いつ、どんな方向から地球に接近してくるかは、高度な軌道計算をしないと予測できません。
そんな地球近傍の小惑星は、直径140m以上のものだけに限定しても、現在発見されているものは2万7千個と言われています。で、そのうち、将来的に地球に衝突する可能性がある小惑星で、かつ衝突したときに地球に与える影響が大きいと考えられる小惑星は「潜在的に危険な小惑星」と分類されており、それが約2千個にもなるらしいです。おそろしいですね。
既知のものだけでもそんなにあるのに、未知のものを含めるとどんな数になるのか・・・。しかも未知のものの方が危険です。突然現れて地球に向かってくるかもしれないからですね。
昔、ブルース・ウィリス主演のアルマゲドンという映画があったのをご存じでしょうか? そして、もうひとつ同じ時期にディープインパクトという映画もありました。これらは似たような設定の映画で(似た設定の映画が2つ同時に公開になったのは偶然ではないらしい)、両方とも「地球に衝突する小惑星を、人類がなんとして破壊する」という映画です。
この2つの映画では、多くの犠牲はあったものの、なんとか小惑星の破壊に成功します。でも、現実の地球にそんな小惑星が迫ってきたとき、本当にそれを回避する技術力が、今の人類にあるのでしょうか。準備に何十年以上もあるのであればなんとかなりそうですが、期間が短ければ、おそらく今の技術では無理だと思います。これは人類にとってとても大きな課題です。
重たいものを小惑星にぶつける実験「DART計画」
そんな現状を打破するためNASAが進めているのは、「なんらかの重たい物体を衝突させて小惑星に軌道を変える」という実験を行う計画、「DART計画」です。「DART」とは「Double Asteroid Redirection Test(二重小惑星方向転換試験)」の略。
具体的には600kgの重さの探査機DARTを、小惑星ディディモスの衛星・ディモルフォスに相対速度秒速6kmで正面衝突させます。もし成功して計算通り進めば、ディディモスの周りを周回しているディモルフォスは、DARTに正面衝突されることで減速し、一回り小さな軌道でディディモスの周りを回るようになります。実験結果が分かりやすいですね。しかも、衝突するのが、その小惑星が地球に最接近するタイミングなので、衝突後の様子が光学的に観測できるそうです。
これの解説動画あったので、シェアします。
soraeさんの動画はいつもすばらしいですね!
そんなDART計画ですが、探査機DARTは2021年11月24日にすでに打ち上げられており、衛星ディモルフォスに衝突させるのは、日本時間2022年9月27日午前8時14分、すなわち、
明日の朝8時
です!
なんと9時間後だ!!
「NASA Live」にはライブ配信
NASAは衝突の様子をライブ配信するということなので、結果が気になる方は「NASA Live」で見てみましょう。私は残念ながら仕事が始まる直前なので、見られなさそうです(涙)
Twitterでも見られるということなので、会社でコッソリ見るか。いや、いっそ開き直って堂々と見るとか(笑)
ちなみに、探査機DARTには、小型のもうひとつの探査機「LICIACube」を搭載しており、衝突の直前に分離し、衝突の様子はLICIACubeが撮影することになっています。ライブ配信でそこまで見られるとは思えませんが、撮影に成功したらどんな映像(画像?)になるのか、興味津々です!
【追記】実験の成果を投稿しました
実験が成功したようなので、その成果を記事にまとめました。
いや~素晴らしいです♪