2020年5月8日 十勝の幕別町で霧虹が発生
昨日の北海道新聞をみたらこんな記事が載っていました。
■光る白の曲線、小麦畑に「霧虹」 幕別
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/419309
霧虹? きりじに? 霧虹って何?!
5月8日、十勝管内幕別町日新の小麦畑で、霧が白く光る「霧虹(きりにじ)」が見られたという記事です。気象現象などには結構詳しいつもりでいましたが、「霧虹」というのは知りませんでした。いやいや、世界は広いです。(これは北海道の話ですが)
調べていたら、インスタグラムにもこの記事の写真が投稿されていましたのでシェアしますね。これが霧虹という気象現象です。
これは素晴らしい写真ですね。フォトグラファーとしてはうらやましい限りです。十勝の広々とした小麦畑に幻想的に白い虹が浮かび上がっており、しかもその虹の円の中心に撮影者の影があるという・・・。なんと幻想的で美しい写真でしょうか。
霧虹・白虹ってどんな気象現象?
さて、この霧虹という現象はどんなものなのでしょう? さっそく調べてみました。
まず、普通の虹というのは、カラフルな七色のアーチです。簡単に言うと、大気中の水滴がプリズムの役割を果たして、太陽光を分光(光の波長ごとに分離)してしまう現象ですね。光というものは、屈折率が違う物質の境界面を斜めに通過する際、その光の波長によって屈折する角度が変わります。水滴に入った光が水滴から出て行くときに波長ごとに進行方向が変わってしまうため、様々な色の光に分かれてしまうんですね。
では霧虹は? 同じように太陽光が大気中の水滴に当たる現象なら同じように七色になるはずですが、これは白一色のアーチです。何がどうなったらこのような白い虹になるのでしょう?
普通の虹は雨の水滴によって発生しますが、霧虹は霧のときに発生します。霧というのは雨と比べて水滴の粒が小さいですから、上記のような分光はもっと極端な角度で発生します。そうなると虹の七色の一色あたりの幅が広くなるんですね。濃い虹が薄く引き延ばされるイメージです。
そして、さらに水滴が小さくなり、微粒子と呼ばれるレベルの大きさになると、ミー散乱という光の散乱も発生するので、結局色が混ざり合って白になってしまいます。これが白く見える虹・霧虹の正体です。原理は普通の虹と同じようなものですが、水滴の粒が小さいために色が白くなってしまっているんですね。
なるほどー。絵の具は混ざれば混ざるほど黒っぽくなっていきますが、光というのものは混ざれば混ざるほど白に近くなりますからね。納得です。ちなみに霧虹は白い色の虹であることから「白虹」とも呼ばれています。
月虹とは?
さらに似たような気象現象で「月虹」というのがあります。「つきにじ」ではなく「げっこう」と読みます。これは霧虹と少し違っていて、霧ではなく、普通の虹と同じように雨の水滴で発生するものです。ただ、光源が太陽光ではなく月光であるため、色彩が淡く、七色に見えないため白っぽく見えてしまう現象です。
月光で虹が架かるなんて幻想的ですね。霧虹・月虹・・・私も見てみたいですね~