金星と水星のランデブー(大接近)を撮影してみた(2020年5月22日)

夕方の西の空に輝いていた金星(右)と水星(左)。2020年5月22日20時ごろ札幌市で撮影

金星と水星が大接近するということで、撮影にチャレンジしてみました。
水星の撮影は初体験となります。

 

2020年5月22日、西の空に金星と水星が大接近

惑星などの撮影を行うときは、国立天文台のサイトの「今日のほしぞら」のページで位置や視等級などを調べるのですが、とある日、5月22日に金星と水星が大接近することに気がつきました。

2020/5/22 20:00の星空。国立天文台サイト「今日のほしぞら」より引用

これがそのページなのですが、22日の20:00にほぼぴったり重なるんですね。これは写真を撮らなければ、と思いました。

これまで、金星、火星、木星、土星と、ショボい機材ながらいろいろな惑星の写真を撮影してきたのですが、水星だけは撮影したことがありませんでした。なぜかというと、水星は太陽に近いところを回っているため、大抵は太陽とほぼ同時に沈んでしまうんですね。水星は他の惑星と違って星自体が小さいですから、太陽の明るさが残っている状態で観測してもほとんど見えない、

と思い込んでいたんです(恥)

見えるんですよ、実は。私の勉強不足でした。この国立天文台のページには、その日のその惑星の視等級も載っているので、それを確認したら、水星は-0.6等級。なんと一等星より明るいではないですか。それなら多少明るさが残っていても見えるし、写真にも撮れそう、ということがわかりました。

今まで相当な機会損失をしていましたね。水星が楽に見えるのは、(地球から見て)水星と太陽が遠くに離れているときだけですが、公転周期が88日なので、地球の公転を加味しても5ヶ月に1回(1週間ぐらいの期間)はチャンスがあったんです。

ということで、撮影にチャレンジしました。とりあえず、練習がてら前日の5月21日の写真です。

2020年5月21日20:00頃の西の空。金星(上)と水星(下)が写っている。(札幌市)

写っていました! これはマジメに感動です!
肉眼では金星しか見えていなかったのですが、露光時間を長めに撮影したら、下の方に少し暗く小さいな星が写っていました。このエリアで他に一等星は無いはずなので、水星で間違いなさそうです。この日の西の空は雲が多かったのですが、ラッキーなことに金星も水星も顔を出してくれていました。

この写真の撮影条件は以下の通りです。

・カメラ CANON EOS9000D
・レンズ AF 70-300mm F/4-5.6 Di LD Macro 1:2 (Model A17)
・解像度 6000×4000 pixel
・撮影条件 ISO1600・1/4s・F7.1(マニュアルモード)
      ホワイトバランス:太陽光
      画角:150mm付近
※若干トリミングしています
※トーンカーブを調整して星の明るさを強調しています

 
ということで迎えた翌日・大接近の夜。その日はずっと曇り空であきらめかけていたのですが、19時ぐらいから西の空に晴れ間が見え始めました。こんなことってあるんですね。天が私に「写真を撮れ」と言っているようです(笑)

で、この日はすでに19時半ぐらいから金星と水星が肉眼でも確認できました。生まれて初めて水星を肉眼で観測しました。やればできるんですね。今度から気をつけよう。

暗くなるのを待って20時少し前、ベランダに出て撮った写真がこれです。

2020年5月22日20時ごろの西の空。金星(右)と水星(左)が写っている。(札幌市)

2つ仲良く並んでいますね。こういうのをランデブーと呼ぶこともあるようです。前日と比べてかなり接近しています。

日単位の動きとしては、金星が前日の同時刻よりも下に下がっていて、水星が前日の同時刻よりも上に来ています。水星はさらに何日間か太陽から離れていく動きになりますので、さらに上に上がっていくんでしょうね。観測しやすい状態となります。

逆に金星は太陽に近づいていきますので、夕方の観測は間もなく不可能になります。太陽と一緒に沈んでしまいますからね。6月4日に太陽とほぼ重なる予定です。

上の写真の撮影条件は以下の通り。

・カメラ CANON EOS9000D
・レンズ AF 70-300mm F/4-5.6 Di LD Macro 1:2 (Model A17)
・解像度 6000×4000 pixel
・撮影条件 ISO1600・1/4s・F7.1(マニュアルモード)
      ホワイトバランス:太陽光
      画角:77mm付近
※かなりトリミングしているので、120mm相当ぐらいの画角になっています。
※トーンカーブを調整して星の明るさを強調しています

ちなみにこの写真、上の方にもう一つ星が写っています。位置的におうし座ベータ星・エルナトではないかと思います。

 

水星・金星・地球・太陽の位置関係

さて、今回は金星と水星のランデブーという珍しい状況なのですが、その日の太陽系の各惑星の位置関係を見てみましょう。

2020/5/22の太陽系各惑星の位置関係 ※STUDIO KAMADA様のページから引用

本当に地球と金星・水星が直線ですね。しかも地球から見て水星が太陽と離れています。これはかなりレアな状況です。
水星の公転周期が88日、金星の公転周期が225日、地球の公転周期が365日。これらが一直線になることは数年に1回ぐらいはありそうですが、地球から光学的に観測するためには、今回のように水星が(地球から見て)太陽から離れていることが条件になります。そうなると、かなり確率は低そうですね。次回見られるのはいつになるのでしょうか?

今回は、そんなレアな状況の写真が撮れてかなりラッキーでした。一生の記念にしよう(笑)

※上の画像は、STUDIO KAMADA様の「太陽系の天体の位置」というページから引用させていただきました。日付と時間を入れると、惑星の位置が画像で出てくるという素晴らしいページです。興味のある方は訪れてみてください。

太陽系の天体の位置

 
ちなみに、今日(2020/5/24)は、これに月が参加して、月・金星・水星のランデブーになったようです。これも事前に知っていたのですが、札幌はものすごい分厚い雲が覆っていて、とても写真を撮れる環境ではなかったです(涙)

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