摩周湖の水は凍るのか
この写真は2006年の3月に撮影した摩周湖です。
見事に真っ白ですね。これが全面結氷した上に雪が積もっている状態です。これだけを見るとこの記事のタイトルの問いは「凍る」が正解に思えますが、実はそうでもないんです。
この年は凍ったようですが、摩周湖は凍る年と凍らない年があるのです。
摩周湖の近年の全面結氷の実績データ
どれぐらいの確率で凍るんだろうと思い、近年の実績を調べてみました。一覧となっているものが見つからなかったので、個人サイトなどに掲載されている写真やコメントを参考にしています。
2019年 全面結氷
2018年 全面結氷
2017年 部分結氷
2016年 部分結氷
2015年 部分結氷
2014年 部分結氷
2013年 全面結氷
2012年 全面結氷
2011年 全面結氷
※年度ではなく暦年で記載。例年2~3月頃に結氷
こんな感じです。
全く凍らないという年は無いようですが、全面結氷になるかどうかは半々というところです。
(個人サイトを参考に書いているので参考程度でお願いします)
日本最北の不凍湖は支笏湖
年間通して全面結氷しない湖を「不凍湖」と言います。一般に「日本最北の不凍湖」と言われているのは、北海道千歳市にある支笏湖です。
そもそも、北海道に全面結氷しない湖は2つしかありません。それは洞爺湖町の洞爺湖と千歳市の支笏湖です。そのうち支笏湖の方がちょっとだけ北にあるんですね。
弟子屈町の摩周湖と白老町の倶多楽湖は、全面結氷するかしないかの際どいラインあって、全面結氷する年としない年があります。
道南・七飯町の大沼はこれらよりもはるかに南にあり、冷え込みも上記の地域よりは厳しくないのですが、毎年全面結氷します。
凍る湖と凍らない湖。いったい何が違うのでしょう?
湖の結氷の仕組みと凍る湖・凍らない湖の違い
答えを先に言ってしまうと、その湖の深さ(平均水深)によります。
湖の水は気温が氷点下になったからと言って、すぐに凍るわけではありません。長い時間をかけてゆっくりと凍っていくんですね。
なぜすぐに凍らないかというと、冷たい外気に触れているのは湖水の表面だけなので、表面付近の水が冷やされても、湖水全体の温度差により対流が発生し、下にある暖かい水と入れ替わってしまうからです。そうやって冷やされた湖水が混ざりながら徐々に湖全体が冷えていき、湖水全体が冷え切ると、表面から結氷が始まります。これが結氷までのプロセスになります。
浅い湖であれば、冷やされた水が対流で沈んでも、入れ替わる水の量が少ないため比較的短期間で湖水全体が冷えてしまいます。逆に深い湖は、湖面を冷やしても冷やしても次から次へと暖かい水が上がって来るので、なかなか湖水全体が冷えません。これが「凍る湖」と「凍らない湖」の違いです。
支笏湖や洞爺湖と比べて温暖な地域にあるにもかかわらず全面結氷する大沼は、平均水深で4.7m、最大水深で12.2mしかありません。あれだけ大きな湖なのに恐るべき浅さです。これは凍って当然という感じがします。
それと比べて不凍湖である洞爺湖は平均水深117m、最大水深180mです。桁が違いますね。同じく不凍湖である支笏湖にいたっては、平均水深265m、最大水深360mというとんでもなく深い湖です。想像するだけで恐怖を感じますね。そんな容積の水をすべて凍らせるというのは、いかに北海道の寒さでも無理のようです。
“半”不凍湖である摩周湖は平均水深137m、最大水深211m。洞爺湖よりも深いですが、真冬の寒さがまったく違いますので、結氷するのも仕方ないかもしれませんね。摩周湖の辺りは氷点下20℃ぐらいの冷え込みが何日も続いたりします。
ちなみに、、、、
北海道より遥か南にある長野県の諏訪湖も全面結氷する湖として知られています。標高が高いため、真冬は北海道並みに冷え込むことと、水深が浅いのが理由です。平均水深が4.7m。山岳地帯にあるのにこんなに浅いなんて不思議ですね。土砂とかが流れ込んでくるような湖なのかな? 機会があったら調べてみますね。
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