サクマ式ドロップスの佐久間製菓が廃業。でもサクマドロップスのサクマ製菓は大丈夫

映画・火垂るの墓で有名な「サクマ式ドロップス」の佐久間製菓が2023年1月に廃業するそうです。私も小さい頃からお世話になった定番お菓子のメーカーが廃業するのはとても寂しいですね。これは1つの時代の終わりを感じずにはいられません。

ところでみなさん、現在販売されているドロップスに、

・サクマ式ドロップス
・サクマドロップス

の2種類が存在していることをご存知でしょうか?

サクマ式ドロップスを販売しているのは佐久間製菓。
サクマドロップスを販売してるのはサクマ製菓。

名前は似ています(というか読みは同じです)が、ふたつの会社は別の会社です。今回ニュースになり来年廃業するのは「佐久間製菓」で、「サクマ製菓」の方は引き続き営業するそうです。

2023年11月9日のサクマ製菓公式Twitterで以下の宣言がありました。

 
確かに似たような名前の会社がふたつあると思いませんので、ほとんどの人は勘違いしますよね。サクマドロップスもなくなるんだ、と。

私も佐久間製菓廃業のニュースを読んだとき、たまたま職場のデスクの引き出しに、これが入っており、

「ああ、これも食べられなくなるのか」と思ったのですが、このパッケージに「サクマ式」の「式」が入っていないことに気が付きました。あれ、バチモンか? と思って調べてみて初めてサクマ製菓の存在を知ったという。しかも、私がこれまで愛用していたドロップスは、廃業しない方のサクマ製菓のドロップスだったのです。

なんだこれ?
なんで、こんな似たような名前の会社が似たような名前の製品を販売してるんだ?

会社の名前が似ているだけならただの偶然かもしれませんが、商品名まで似てるとなると、これは偶然な訳がないですよね。

早速調べてみました。

 

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戦前の佐久間製菓と戦後の佐久間製菓

まず、この世で最初に「サクマ式ドロップス」が誕生したのは、1908年、なんと明治41年の話です。1908年に佐久間惣次郎氏が「佐久間惣次郎商店」を立ち上げて製造を開始したお菓子が「サクマ式ドロップス」です。

それが缶入りになったのが1913年。そして、1920年、社名変更によって「佐久間製菓株式会社」が誕生します。しかし、この「佐久間製菓」と今回廃業が決まった「佐久間製菓」は別の会社なのです。

佐久間惣次郎氏が興した佐久間製菓は、2代目社長である山田弘隆氏の手腕もあって不況の中なんとか経営を維持していきましたが、第二次世界大戦中である1944年、戦争による砂糖の供給停止や、企業整備令が施行されたことによって、残念ながら廃業してしまいました。火垂るの墓に登場したドロップスを作った会社は終戦時にはもう存在していなかったのです。

しかし、サクマ式ドロップスはここで終わりません。1948年、旧佐久間製菓の番頭格だった横倉信之助氏が、池袋に再び「佐久間製菓株式会社」を興したのです。

そして、この話は続きがあります。
ほぼ時を同じくして、旧佐久間製菓社長の山田弘隆氏の三男である山田隆重氏も、父親の意志を継ぎ、恵比寿にてドロップスの製造を開始。そして1949年、法人化して「サクマ製菓株式会社」が誕生しました。これが同じような名前の会社が2つある理由です。

さて、そうなると「サクマ式ドロップス」の名前はどちらが使うのか、これがすんなりと決まるわけもなく、裁判で争うことに。

結果、

・佐久間製菓が「サクマ式ドロップス」の商標を使うこと
・サクマ製菓はその社名を名乗ること

が認められました。それでサクマ製菓のドロップスは「サクマドロップス」という「式」が入っていない商品名になったんですね。

その後この2社は和解し、現在は「サクマ式ドロップス」の商標は2社が共同所有している、ということなので、もしかしたら佐久間製菓が2023年1月に廃業したあと、サクマ製菓が「サクマ式ドロップス」を復刻する、という展開もあるのかもしれませんね。

 

サクマ式ドロップスとサクマドロップス

この2社の明暗を分け理由は素人の私にはよくわかりません。

佐久間製菓も、ドロップス以外の展開をいろいろとチャレンジしていたようですが、現実は厳しいようです。製品のラインナップを見てみましたが、ドロップス以外の製品を私は知りませんでした。一方、サクマ製菓は、サクマドロップスの他、「チャオ」や「いちごみるく」などのヒット商品を出していますよね。他にも柱があるのは大きいですが、でもまあ、廃業の理由はそれだけじゃないんでしょうね、きっと。

さて、まもなくなくなってしまうサクマ式ドロップスですが、現在はこんな容器で売られています。

味は、

イチゴ、レモン、オレンジ、パイン、リンゴ、ハッカ、ブドウ、チョコ

の8種類だそうです。

一方、なくならないサクマドロップスは、こちら。

味は、

イチゴ、レモン、オレンジ、パイン、リンゴ、ハッカ、スモモ、メロン

の8種類だそうです。

なんと、最後の2種類が違う!!

そうかー、私は小さい頃にチョコレートのドロップスが好きだったのですが、あればサクマ「式」ドロップスの方だったのですね。逆にメロンのドロップスはあまり好きじゃないので、私にとっては佐久間製菓のドロップスの方が好みに合ってたんだ!

ただ、とても正直に言いますと、上のサクマ式ドロップスはスーパーとかであまり見かけないように思います。全然見慣れてないです。下のサクマドロップスの方は、ものすごく見慣れています。それは地域とか私の行動範囲だけの話かもしれませんが、チョコレートが食べられなくなる以前に、私の口にはしばらくサクマ式ドロップスは入っていなかったと思われます。

ちなみに、冒頭で紹介した私の職場のデスクの引き出しに入っていたドロップスはどこかの100均で買ったものです。で、先ほどWikipediaを見たら、、

(サクマ製菓の)一部の商品には、通常製品よりも内容量が少ない100円ショップ専用製品が存在する。

という記述があったんですね。

飴系って、まともに買うと結構高いので、私は100均で買うことが多いんですよね。もし、そういう人が多いとしたら、サクマ製菓のこの戦略はとても優秀なのかもしれません。

 
とまあ、そんな感じで、ドロップスについて、いろんな歴史があることが解りました。深いですね。世の中にはまだまだ知らないことがいっぱいありますね!
 

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