この図は、2022年11月14日の17時09分頃に発生した地震の震度分布です。
これを見ていくつかオカシナことに気がつきませんか?
まず1つ目は、最大震度が4なのに、えらく広範囲が揺れていること。
まあこれは、震源が深ければあり得ることなので、それほど不思議ではありません。
問題は次。
図の赤い「×」は震源地で、三重県の沖になります。でも、最大震度を記録しているのは、福島県と茨城県なのです。
震源地に近い静岡県では震度1、三重県や愛知県に至っては揺れの記録無し。近いところはあまり揺れてないのに、遠いところが揺れている?! こんなことってあるんだ?!
「異常震域」という現象
そんなことを思っていたら、やっぱりこの不思議な現象がニュースになっていました。
ウェザーニュースの記事ですが、地震の発生が17時09分、ニュースのアップが17時28分。この記事、19分で書き上げたのか! さすがです!!
これによると、この震度分布は「異常震域」という現象であって、それほど珍しいことではないとのことです。いやいや、「異常」って書いてるでしょ?!ってツッコミたくなりましたが、実際には「たびたび起こること」なんだそうです。
そもそも異常震域ってなんぞや?!
異常震域とは、通常ならば震源地(震央)で最も大きくなり、中心から同心円状に広がりながら小さくなるはずの地震で観測される震度が、通常とは異なる傾向を示す現象、また、そうした震度分布がみられた地域のことである。
※Wikipediaより引用
なるほど。要するに、今回みたいに、距離と震度の関係が通常と違う現象が「異常震域」なんですね。初めて聞いた言葉です。
「異常震域」が発生する原因
震源地から遠いところの方が大きな揺れが発生するというのは、確かに局所的にはありますよね。私もニュースを見て、「あれ、◎◎市より△△市の方が遠いのに揺れが大きい」と思ったことは何度もあります。でも、それは、数十キロ程度の距離の話で、こんな何百キロも離れた場所で、遥かに大きな震度が観測されたなんてことは、記憶にありません。
なぜ、こんな現象が発生するのでしょうか?
異常震域は発生する原因は、以下の2つだそうです。
(1)その周辺地域の地盤の状態が異なるため
(2)上部マントルの地震波速度構造の違いで、減衰度合いが経路上の構造によって異なるため
ふむふむ。
私が「◎◎市より△△市の方が遠いのに揺れが大きい」と思ったような現象は、この(1)の方ですね。地盤がユルい場合は、震源から遠くても揺れが大きくなったりしますよね。
で、今回の三重県沖の地震は(2)に該当するようです。今回の地震は、震源が深さ350kmという深い場所であり、そこから地上までの地層に、地震波が伝わりにくい層(減衰度合いが高い層)があったんですね。そしてその震源は太平洋プレートの端っこだったので、その「伝わりにくい地層」よりも、太平洋プレートの方に大きく地震波が伝わっていき、太平洋プレートが深さ的に近い福島県や茨城県の方が大きく揺れた、ということみたいです。
先ほど、三重県南東沖の深さ350kmを震源とする最大震度4の地震があり、顕著な“異常震域”が見られました。太平洋プレートの深い場所で地震が発生すると、震源付近よりも太平洋プレートに近い東北などの太平洋側で揺れが強くなります。名前は“異常”ですが、簡単に説明のつく自然な現象です。 https://t.co/TFAiQ6NBrC pic.twitter.com/7yxhTbrcZA
— 人が死なない防災 (@bosai_311) November 14, 2022
なるほどー、こうやって説明されれば、確かにそういうこともあるかもしれない、と思いますね。今回の地震は、いろんな意味で深いなあ。
ということで、今後は、地震速報を見るときに少し見方が変わりそうですね(笑)