ZTF彗星(C/2022 E3)が地球に接近。2023年2月には北の空に肉眼で見える可能性あり

今回は彗星のお話。
2022年に発見されたZTF彗星という彗星があるのですが、このままの軌道で進めば、2023年2月、地球に0.29AU(太陽と地球の距離の0.29倍)まで近づきます。

明るさも5等級ぐらいになり、暗いところなら肉眼でも見えるかもしれないとのことで、とても楽しみです。

今回はそのZTF彗星について、天体としての特性や見える時期、方角など、現在わかっていることをまとめたいと思います。

 

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ZTF彗星(C/2022 E3)の特性

まずは現段階の写真から。天文リフレクションズ様のツイートです。

キレイですね。現在9等級の明るさということで、まだ太陽から遠いところにいるのですが、もう尾が見えます。

ZTF彗星(C/2022 E3)は、2022年3月2日にアメリカのZwicky Transient Facility(パロマー天文台にあるパロマーシュミット望遠鏡を使用した広視野天体観測プロジェクト)によって発見された新しい彗星です。

特性は以下の通り。

・近日点 1.112 AU
・遠日点 2800 AU
・離心率 1.00025
・公転周期 約50000年
・軌道傾斜 109.17°
 ※Wikipedia(英語)より

あれ? Wikipediaからの引用ですが、この特性おかしくないです?
離心率が1.00025と1より大きい数字なので、これだと軌道が楕円形にならず、双曲線になりますね。そうなれば周回していない彗星ということになるので、遠日点も公転周期も存在しないと思うのですが・・・(汗)
まあいいか。

発見時は太陽から4.3AUの距離にいて、明るさも17.3等級と暗かったのですが、太陽に近づく過程にあったので、その後、2022年7月には14等級、12月初旬には9等級となり、順調に明るくなっています。

このまま行くと、2023年1月12日に近日点(太陽にもっとも近い点)を通過し、2023年2月1日、地球に最接近します。0.29AUの距離です。予想では5等級の明るさになる可能性があるらしいので、そうなれば光害のない地域なら肉眼でも見られるかもしれません。肉眼がダメでも双眼鏡があれば大丈夫そう。

とはいえ、彗星は太陽に近づくといきなり崩壊したりすることもあるため、まだまだわかりません。2020年に接近したアトラス彗星がそうでしたね。今後の経過に注目です。

ああ、ちなみに、
NTF=Zwicky Transient Facilityは様々な天体観測を行うプロジェクトで、彗星を発見するのはこれが初めてではありません。「NTF彗星」と呼ばれる彗星も複数ある(例:「ZTF彗星 C/2020 V2」)ようなので、単に「NTF彗星」というと誤解を招く恐れがあります。仮符号をセットにして、「ZTF彗星(C/2022 E3)」と書くのがベストですね。

 

ZTF彗星(C/2022 E3)が見える方角

今回の彗星は、比較的観測しやすい条件が揃っています。

2021年に近づいたレナード彗星は、3.7等級ととても明るい彗星だったのですが、ピークの際、地球から見て太陽の近くに存在していたため、日の出直前しか観測できず、しかも地平線ギリギリのところだったので、観測するのがとても難しい条件でした。

しかし今回のZTF彗星(C/2022 E3)は、ピークの際は北極星の近くにいますので、北半球ではほとんど一晩中観測することができます。

2023年2月1日(ピーク)のNTF彗星の位置はこのあたりです。

NTF彗星の位置。2023年2月1日 1:00ごろ(赤丸が彗星)※スマホアプリ「Nebula Book」で描画し引用

最接近する2月1日は、月齢が10と明るめの月が存在しますが、深夜2時には沈むのでそれ以降が観測のチャンスとなります。

参考までに、2023年1月22日と1月15日の星図も貼っておきます。

NTF彗星の位置。2023年1月22日 1:00ごろ(赤丸が彗星)※スマホアプリ「NebulaBook」で描画し引用

NTF彗星の位置。2023年1月15日 1:00ごろ(赤丸が彗星)※スマホアプリ「NebulaBook」で描画し引用

彗星の位置の日変化が大きいですね。
写真を撮るなら、まずは広角レンズで広めに撮影して、撮影した写真を見ながら位置を絞り込んでいった方が良いかも。

写真なら8等級ぐらいの星でも写るので、早い時期から撮影できそうな気がします。2023年01月22日が新月なので、その前後あたりからNTF彗星の撮影にチャレンジしたいと思います。晴れた日があるといいなあ。

 
昨年のレナード彗星は、楽しみにしていたのに、残念ながら写真撮影ができませんでした。ZTF彗星では頑張りたいと思います!

 
【追記2023/1/15】

ZTF彗星の最近の状況と軌道に関する 情報を投稿しました。

ZTF彗星、順調に増光。2023年1~2月の彗星軌道と見える方角・位置
先月もお伝えしたZTF彗星ですが、 2023年1月15日現在、順調に地球に近づいてきており、明るさも当初の予想通り、明るくなってきているようです。 こちらの記事に、詳細なデータが載っておりますが、1月14日時点の明るさは6.5等級ぐらいのようです。   ■ZTF彗星の詳細データ(COBS様のサイト)   この資料によると、このまま順調に地球に近づけば、最接近する2月1日には5.1等級程度の明るさに...

 

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