小惑星ベンヌのサンプルが入ったカプセルが9/24に地球へ。小惑星探査機オサイリス・レックス(OSIRIS-REx)【NASA】

今回はNASAの小惑星探査機オサイリス・レックス(OSIRIS-REx)のお話。現在、オサイリス・レックスは小惑星ベンヌから採取したサンプルを抱えて地球に向かっています。サンプルの地球到達は2023/9/24。明後日です。

って、、、
ずいぶんとブログの更新をサボってしまいましたね(汗)
以前のようにはいきませんが、少しずつペースアップしていきますね。

小惑星探査機オサイリス・レックスが小惑星ベンヌでサンプルを採取しているイメージ画像。©NASA/Goddard Space Flight Center

 

小惑星探査機オサイリス・レックス(OSIRIS-REx)とは

まずは簡単にNASAの小惑星探査機オサイリス・レックスについて説明しておきましょう。
「オサイリス・レックス(OSIRIS-REx)」は、小惑星の表面にある土などの資料を採取して地球に持ち帰るために開発された探査機です。

一言で言うと、「はやぶさ2版NASA」、じゃなかった(ぉぃ)、「NASA版はやぶさ2」です。



日本(JAXA)の小惑星探査機「はやぶさ2」は、小惑星リュウグウでサンプルを採取し、2020年12月に地球にそのサンプルを届けました。いわゆる「サンプルリターン」です。それと同じようなミッションをアメリカ(NASA)でも、平行して計画されており、2016年9月に探査機が打ち上げられました。その探査機が「オサイリス・レックス」です。

はやぶさ2は小惑星リュウグウがターゲットでしたが、オサイリス・レックスは小惑星ベンヌがターゲットになっています。小惑星ベンヌと言えば、近い将来に地球に衝突する可能性が高い小惑星として有名なんですが、その話は後述します。

小惑星探査機オサイリス・レックスのこれまでの行程は以下の通り。

2016年9月8日 ゴダード宇宙飛行センターから打ち上げられる
2017年9月17日 地球スイングバイを実施
2018年12月3日 ベンヌ上空に到着。ランデブーに成功
2018年12月31日 ベンヌの周回軌道に入る
2020年10月20日 地表に接近しサンプルを採取
2021年5月11日 地球に向けて出発

そして、今後は、

2023年9月24日 サンプルが入ったカプセルの地球帰還

という予定になっています。

オサイリス・レックスのサンプル採取方法

サンプルの採取は、はやぶさ2と同じような感じで、長いアームの先を小惑星の表面にタッチさせて行います。はやぶさ2は鉄球を打ち込んで表面を少し削ってからタッチしましたが、オサイリス・レックスは、タッチと同時に窒素ガスを噴射し、その勢いで吹き飛んだ塵や小石を採取する、という仕組みになっています。

また、はやぶさ2では、長いアームの中をサンプルが通過して、探査機本体にくっついているカプセルに入っていく仕組みですが、オサイリス・レックスはちょっと違って、アームの先で採取したサンプルを、アームを折り曲げることでカプセルに収納します。

YouTubeにオサイリス・レックスの全行程の説明動画があったのでシェアします。2:30あたりからサンプル採取ミッションをCGで説明しています。面白いのでぜひ観てください。

それと、実際にベンヌにタッチした瞬間の生の映像もあります。

これ、すごい映像ですよね。感動モノです。こんな月よりも遥かに遠い場所で行われているミッションの映像が見られるなんて素晴らしいです。しかも、とのときに採取したサンプルが、まもなく地球に届くとか、とんでもない話です。

この時代に生まれて良かったと思います。天体って、地球から眺めているだけでは、点にしか見えませんからね。まあ、それはそれでいろいろと想像できてロマンティックですけど(笑)



小惑星ベンヌとはどんな天体?

それでは今回ターゲットとなった小惑星ベンヌについて、説明しましょう。まず見た目ですが、ベンヌとはこんな小惑星です。

小惑星ベンヌの自転。NASA/Goddard/University of Arizona, Public domain, via Wikimedia Commons

ひし形? そろばんの珠? うまく表現できませんが、不思議な形の天体ですよね。この画像(GIFアニメ)は、オサイリス・レックスがベンヌの高度80Kmから撮影した写真をベースに作られているそうです。

このベンヌは探査機のターゲットになっていることよりも、別のことで有名な小惑星です。恐ろしいことに、「将来、地球に衝突する可能性が高い天体」として知られているのです。現在のところ、「2300年までにベンヌが地球に衝突する確率」は、【1750分の1】とされています。

なあんだ、ほとんど衝突しないんじゃないか、と思われるかもしれませんが、天文学的には、これはものすごい高い数字なんです。

さて、そんなベンヌをデータから分析すると・・・

<ベンヌの軌道要素・物理特性>
発見日  1999年9月11日
発見者  LINEAR
軌道長半径  1.126 au
離心率  0.20
公転周期  1.20 年
平均直径  0.482 km
平均密度  1.194 g/cm3
自転周期  4.296 時間
絶対等級  20.21
wikipediaより引用

平均直径が約0.5Kmですから小惑星としたら小さい方ですね。軌道長半径は1.126au(太陽-地球間の距離の1.126倍)なので、地球よりもちょっとだけ外側を公転している感じです。公転周期も地球より少し長いだけですね。

でも、離心率が0.2ということで、地球と違って少しいびつな楕円の公転軌道になっているようです。そのため、地球の公転軌道の内側に入ることがあるんですね。ここが問題です。

地球よりも外側を回り続けているならば、永遠に地球と衝突することはないのですが、ベンヌは地球と似た公転軌道を持っている上に、地球よりも内側に行ったり外側に出たりするわけです。それって恐ろしいことですよね。

そんなわけでベンヌは何十年に一度、地球の側を通過するのですが、現時点で最も近くを通過するのは2135年だそうです。今から112年後ですね。私はたぶん生きてないかも(笑)

今回のオサイリス・レックスの調査は、サンプルリターンの他に、小惑星ベンヌの詳細を調べる目的も含まれています。今回の調査は、将来の地球の危機を救うのかもしれませんね。

小惑星ベンヌについては、過去の記事でも紹介していますので、参考に。

それでは今日はこの辺で。