先日、地球に近づいているアトラス彗星のお話を書きましたが、今回は同じく地球に近づいている小惑星のお話です。
小惑星「(52768)1998 OR2」が2020年4月29日に地球に最接近
地球に小惑星が接近しています。最接近日は2020年4月29日。
接近している小惑星は、名前はまだ付いていないのですが、小惑星番号が(52768)、仮符号は「1998 OR2」。この仮符号から、1998年に発見された小惑星だということがわかります。
この小惑星は、直径は2.06kmとされており、太陽の周りを回る公転周期は3.68年。
軌道長半径は 2.384au、近日点距離は 1.018auです。(1auは、太陽と地球の距離に相当)
さて、ここでお気づきかと思いますが、近日点距離が1.018auということは、近日点通過時は地球の軌道にものすごく近いところを通過します。
この図を見てもわかるとおり、1998 OR2の軌道はほとんど地球の軌道と接しています。
まあ、軌道が近いと言っても、結構な勢いで通り過ぎていきますので、たまたまその近くに地球があるなんてレアケースなんですよね。でもですね、
今回の接近はめちゃくちゃ近いんです!
最接近時の距離は 0.042au。太陽と地球の距離の4.2%ですね。わかりやすい単位で言うと630万km。地球と月の距離の約16倍の位置です。
この数字だけだと遠いのか近いのかよくわかりませんが、天文学的にはものすごい近い距離ですよね。間違って地球に衝突することはないのかと気になるのところですが、NASAは「衝突する可能性は非常に低く”驚異を感じるものでない”」としています。
「潜在的に危険な小惑星」のひとつ
今回は衝突の危険は無いとのことですが、この小惑星「(52768)1998 OR2」は、実は「潜在的に危険な小惑星」に分類されています。何やら不穏な名前ですよね。
太陽系に存在している小惑星は、人類によって発見されているものだけでも30万個以上あります。基本は太陽の周りを回っているのですが、楕円形の軌道を持っているものも多く、中にはこの1998 OR2のように地球の軌道に近いものや、中には交差しているものもあります。
そこで、「地球に衝突する可能性が大きく、なおかつ衝突時に地球に与える影響が大きいと考えられる小惑星」を「潜在的に危険な小惑星(Potentially Hazardous Asteroid=PHA)」と分類し監視を行っています。
具体的に言うと、
(1) 地球軌道との最小交差距離が0.05AU(約748万km)以下
(2) 絶対等級が22.0以上(直径が110m以上)
この2つの条件を満たす小惑星が「潜在的に危険な小惑星」に分類されます。地球の近くを通過する大きめの小惑星、ということですね。
これに該当する小惑星は一体何個あるのか?
なんと、
1331個です。(2012年時点)
ひええ~~! こんなにあったらいつかは衝突しそう!
小惑星の軌道はちょっとしたことにズレたりしますし、まだまだ発見されていない小惑星もたくさんあるらしいですしね。映画ディープインパクトやアルマゲドンが現実になる日が来るのかもしれませんね。人為的に軌道を変えるような実験も予定されているようですが、うまくいくのかどうか・・・。
とりあえず、
今回接近している1998 OR2はこのままの軌道なら地球に衝突する可能性は低いようですので、ご安心ください。