日本一深い湖は田沢湖。日本の湖の深さランキング20と湖をめぐる伝説

2022年4月16日

日本一深い湖・秋田県仙北市にある「田沢湖」掬茶, CC BY-SA 4.0, via Wikimedia Commons

 

日本で一番深い湖はどこですか?
2番目は?

今回は意外と知られていない深い湖のランキングをお伝えしたいと思います。
 

第1位 田沢湖(秋田県) 最大深度423.4m

日本一深い湖は秋田県仙北市にある「田沢湖」です。最も深いところでなんと423.4mもあります。水面の標高が249mなので、最深部は海面よりも174mも低い位置になりますね。

◆田沢湖の諸元
場所 : 秋田県仙北市
面積 : 25.75 km2
周囲長 : 20 km
最大水深 : 423.4 m
平均水深 : 280.0 m
貯水量 : 7.20 km3
水面の標高 : 249 m
透明度 : 4.0m

地図ではここ。


 

深さ423mですよ。423m。
想像してみてください。深さが5mの湖でも、泳げない人は溺れてしまう脅威です。それが田沢湖は423mです。考えるだけで恐ろしいです。

昔、北海道十勝地方にある支笏湖の観光ガイドを読んでいたときに、小さい(4km2程度)にも関わらず、深さが108mあると知って恐怖を覚えたものです(←高所恐怖症)。それが田沢湖は423mだという・・・

世界的に見てこの深さはどーなんだと思い調べてみると、世界一深い湖であるバイカル湖の最大水深は1,642mということで、桁が違いました(^_^;) 世界はやっぱり広いです。とは言え、田沢湖は世界17位の深さですから、結構すごい方だと思います。

探してみたら、田沢湖のもっとも深い部分の水中カメラの映像がありましたので、シェアします。




 

あと、田沢湖の風景がよくわかる動画がありましたので、こちらもシェアしますね。


 

キレイですよね。私は訪れたことがありませんので、いつか是非行ってみたいと思います。
動画の序盤に「たつこ像」というのが出てきますが、これは田沢湖に伝わる辰子伝説に出てくる辰子姫の像です。この伝説は、いつまでも美しくありたいとしつこく願った辰子という娘が、観音菩薩によって竜にされてしまい、仕方なく大きな湖(田沢湖)を作りそこの主となった、というお話です。この話の続きは後述します。
 

第2位 支笏湖(北海道) 最大水深360.1m

北海道千歳市「支笏湖」。中央に見える山は恵庭岳。2020年8月撮影

第2位は北海道千歳市にある「支笏湖」です。最大水深は360.1mです。大都市・札幌からクルマで1時間半で行けることから、夏場はお手軽なドライブコースとして賑わっています。天気の良い日に行くと、素晴らしい風景を眺めることができます。

◆支笏湖の諸元
場所 : 北海道千歳市
面積 : 78.48 km2
周囲長 : 40.4 km
最大水深 : 360.1 m
平均水深 : 265.4 m
貯水量 : 20.9 km3
水面の標高 : 247 m
透明度 : 17.5 m

地図ではここ。


 

支笏湖は「日本最北の不凍湖」としても有名です。支笏湖よりも暖かい地域にある道南の大沼は凍ってしまうのですが、支笏湖は凍りません。これは湖の深さが関係しています

湖全体で一番凍りやすいのは外気に触れている湖面ですが、湖底はそれほど冷えていないため、湖面から深くなればなるほど水温は暖かくなります。そして、湖水の寒暖差で対流が起こり、ゆっくりと湖水が循環しますので、湖が深ければ深いほど表面も「凍りにくい」ということになるんですね。これについては過去の記事で詳しく書いているので、興味のある方は参照してください。

また、支笏湖は深く、湖底には枯れ木の枝などが多いことから、「死体が上がって来ない湖である。だから『死骨湖(しこつこ)』という名前になった」という都市伝説がありますが、これはデマです

「支笏湖」という名前の由来は、アイヌ語の「シ・コッ」という言葉で、これは「大きな窪地」という意味です。「死」でも「骨」でもありませんので、ご安心ください。
 

第3位 十和田湖(青森県・秋田県) 最大水深326.8m

青森県と秋田県の県境にある「十和田湖」。Wikipediaより引用

第3位は青森県と秋田県の県境にある美しい湖「十和田湖」。最大水深326.8mです。観光地としての十和田湖は北海道に居ても、その名が知れ渡っており、私にとってもいつか行ってみたいスポットです。

◆十和田湖の諸元
場所 : 青森県十和田市、秋田県鹿角郡小坂町
面積 : 61.11 km2
周囲長 : 46.0 km
最大水深 : 326.8 m
平均水深 : 71.0 m
貯水量 : 4.19 km3
水面の標高 : 400 m
透明度 : 9.0 m

地図ではここ。


 

面白いですね。
第2位の支笏湖と比べて、面積も最大水深も周囲長もあまり変わらないのに、貯水量が5分の1です。(支笏湖20.9、十和田湖4.19。)支笏湖は全体的に深く、十和田湖は一部だけが深い、ということでしょうか。

十和田湖の風景がよくわかる動画があったのでシェアしますね。


 

先ほど田沢湖には辰子伝説というのがある、というお話をしましたが、十和田湖にも十和田湖伝説という同じような伝説があります。こちらは、イワナ漁をしていた八郎太郎が欲を出して仲間のイワナまで食べてしまったため竜にされてしまい、十和田湖の主となる、というお話です。

この話には続きがあり、壮大なストーリーになっています。

その100年ほどあとのこと、お告げにより十和田湖を安住の地にしようとした南祖坊という者がやってきて、八郎太郎に戦いを挑みました。そして八郎太郎は負けてしまい、十和田湖を追われてしまいます。あちこちで各地の神と戦いながら、最終的に落ち着いたのは日本海の近くで、そこに湖を作り暮らしました。これが八郎潟の誕生です。

ようやく落ち着いた八郎太郎ですが、いつしか田沢湖の辰子に惹かれるようになり、田沢湖に通うようになります。しかし、この恋路を邪魔したのはまたしても南祖坊。てめー、おれに何の恨みがあるんだ!と言ったかどうかは知りませんが、恋のパワーは強く、今度は八郎太郎の勝利。八郎太郎と辰子はこうして結ばれました。これによって、八郎潟は浅くなり、田沢湖はより深くなったとか何とか。

これは十和田湖、八郎潟、田沢湖をめぐる壮大な伝説であり、「三湖伝説」と呼ばれています。

 

第4位 池田湖(鹿児島県) 最大水深 233m

池田湖と開聞岳。(写真ACより)

第4位は鹿児島県指宿市にある「池田湖」。最大水深は233mです。水面の標高が66mしかないにも関わらず、水深が233mもあるため、最深部は海面より167mも低い位置にあります。これは田沢湖の最深部と同じぐらいの位置になりますね。

◆池田湖の諸元
場所 : 鹿児島県指宿市
面積 : 10.91 km2
周囲長 : 15.0 km
最大水深 : 233 m
平均水深 : — m
貯水量 : — km3
水面の標高 : 66 m
透明度 : — m

地図ではここ。


 

池田湖にも、古くから龍神伝説なるものがあります。

ある農夫が湖のほとりを歩いていると、首から上は人間、身体は龍という異形の者が横たわっていた。農夫は短刀を抜いて首のあたりを斬りつけた。その晩、農夫は突然死んでしまい、その妻に龍が乗り移ったように、「我を殺した報いとして子孫をことごとく絶やしてやる」と言い出した。親族が社を建てて謝罪すると、龍王の怒りはおさまり、妻も元に戻った。

いや、これはいきなり殺してしまう農夫が悪いでしょう(汗)
まあ、そうしてできた祠が現在まで残っている池王明神なのだそうです。

これは単なる伝説に過ぎないのですが、1978年、この池田湖で巨大生物が目撃されます。しかも目撃者が20名もいるということで、同様な他の都市伝説とは一線を画す目撃事例となります。これが「イッシー」と呼ばれ、全国的に有名になります。

20mほどの大きさで、背中にコブがあり色は黒色、形は蛇か鰻に似ているという話です。2022年現在も、その正体は不明のままです。もしかしたら龍神がまだ生きているのかもしれませんね。
 

第5位 摩周湖(北海道) 最大水深 211.5m

夜の摩周湖。2005年8月撮影

第5位は北海道弟子屈町にある「摩周湖」。最大水深は211.5mです。
蒼くたたずむ神の湖・摩周湖。北海道を代表する湖ですね。日本で最も透明度が高い湖で、世界でもバイカル湖に次いで第2位の透明度を誇っています。

◆摩周湖の諸元
場所 : 北海道弟子屈町
面積 : 19.22 km2
周囲長 : 19.8 km
最大水深 : 211.5 m
平均水深 : 137.5 m
貯水量 : — km3
水面の標高 : 355 m
透明度 : 19.0 m

地図ではここ。

7000年前の大噴火によってできた窪みに水がたまったという典型的なカルデラ湖で、湖の150~350mもの高さの壁に囲まれているため、人は湖面まで降りていくことはできません。外輪山から眺めるだけですね。さらに深さが211mもあると考えると、美しさだけではなく、恐ろしさも感じます。

そして摩周湖は、流入する川も流出する川も無い閉鎖湖です。それにも関わらず、年間通して水位がほとんど変わらないというのも不思議ですね。外輪山などへの降水が土壌に浸透して濾過されてから流入するため、摩周湖は透明度が高いと考えられています。



もうひとつ。摩周湖にはカムイッシュ島という小島があります。これは「孫とはぐれた老婆が探し疲れて島になった」というアイヌの伝承があります。カムイッシュ=「神になった老婆」。この話は別の機会にまたゆっくりと。
 

第6位~第10位

さて、6位以下についてもザッと紹介します。

第6位 洞爺湖(北海道) 180.0 m

 北海道有数の観光地。洞爺湖温泉、有珠山、昭和新山など、周辺にも魅力がいっぱい。

第7位 中禅寺湖(栃木県) 163.0 m

 日本一標高の高い場所にある湖。なんと標高1,269m。紅葉が美しいことでも有名。

第8位 倶多楽湖(北海道) 148.0 m

 登別温泉の近くにある湖。透明度は摩周湖に次いで日本第2位。ビューポイントがあまり無い。

第9位 本栖湖(山梨県) 122.0 m

 富士山麓にある富士五湖の一つ。富士山が写る「逆さ富士」が有名で、現行の1000円札のデザインに使われている。

第10位 屈斜路湖(北海道) 117.0 m

 摩周湖のすぐ隣にある湖で、日本最大のカルデラ湖。周りは温泉がたくさんあり、湖岸を掘ると湯が湧き出す「砂湯」というスポットもある。

こんな感じで・・・
この深い湖ランキング、北海道率が高いですね!
 

第11位~第20位

11位以降は名前と深さだけ。

第11位 然別湖(北海道) 108.0 m

第12位 琵琶湖(滋賀県) 104.1 m

第13位 沼沢湖(福島県) 96m

第14位 猪苗代湖(福島県) 94.6m

第15位 西湖(山梨県) 71.7 m

第16位 青木湖(長野県) 58 m

第17位 鰻池(鹿児島県) 56.5m

第18位 パンケトー(北海道) 54 m

第19位 阿寒湖(北海道) 45 m

第20位 芦ノ湖(神奈川県) 43.5m
 

以上です。

こういうのは面白いですね。いろんな文化や伝承に触れることができました。

もう少しランキングを載せたかったけど、なかなかこういう統計は難しいです。見つかったら後で追記したいと思います。

 



関連記事