函館本線・伊納駅。学校の廃校で利用者が激減した無人駅

そうだ、伊納駅があった

先日、出張で札幌から旭川行きの特急カムイに乗ったのですが、深川駅のすこし手前でのこと、定番の乗り換え案内の放送がかかりました。

「旭川行き普通列車は、◎番ホームから◎時◎分」

いつものならスルーするところですが、そのときはそれを聞いて私は考えました。旭川行きの特急から深川駅で降りて、旭川行きの普通列車に乗り換える人ってどんな人だろう、と。

深川駅と旭川駅の間は結構な距離がありますが、ほとんどが山の中なので、駅があまりありません。

深川を出てすぐに納内駅。ここは駅前に大きな住宅街があるので、それなりに乗り降りがあるかな?
その次が神居古潭駅? いやいや、これはかなり前に廃止になったはず。(後で調べたら1969年廃止でした)
で? まだあるよね? 旭川駅の近くに近文駅はあるけど、その前に・・・、

「そうだ、伊納(いのう)駅があった」

特急の中で声を出してしまいました。

 

伊納駅はこんなところ

2017年の伊納駅。Wikipediaより引用

伊納駅は旭川市江丹別町春日にある無人駅で、旭川駅まで普通列車で10分という場所にあります。地図で言うとここ。

駅の周りは農家が数件あるだけで、「なんでこんなところに駅が?」という感じの場所なのですが、昔は有人駅でしかも貨物の取り扱いがあった駅ですし、昭和48年まで春日小学校がすぐ近くにあったので、それなりに大きな集落だったのだと思います。

ちなみに、旧春日小学校の校舎は今も残っていて、キャンプもできる野外活動施設「旭川市春日青少年の家」として活用されています。私も小学生の頃、ここでキャンプをしました。めちゃくちゃ懐かしい。初めて体験したキャンプなので、40年近く前なのに結構いろんなことを覚えています。私のアウトドア好きの原点はここにあったのかもしれません。

 

北斗商業高校の廃校で利用客が激減

今回、伊納駅のことについて調べてみてわかったこと、それは、石狩川を挟んで伊納駅の南側には台場地区の住宅街あることです。春日青年の家にしても、そこに至るサイクリングロードにしても、かなり旭川の郊外だという認識があったのですが、意外と近かったんだと気がつきました。

私は忠和地区に住んでいたことがあるので、台場地区のすぐとなりです。旧函館本線跡を利用したサイクリングロードが変に大回りしているせいで、すごい錯覚を起こしていました。あんな近所でキャンプしていたとか(笑)

話が逸れましたが、伊納駅が台場のそばということで、台場にあった北海道旭川北都商業高等学校の生徒さんたちは、かなり伊納駅を利用していたそうです。そういう理由から、駅周辺の過疎化が進んでからも、1日500人ぐらいの利用客が居たようですが、その北都商業高等学校が2011年に廃校になり、その後は1日の平均利用客数が1人前後とか・・・(悲) 時代が変わると、いろんなものが変化していくのですね。

 

貨物車2両を利用した珍しい駅舎だったことも

利用客の少ない無人駅の駅舎に、廃用になった車両を利用することはよくあるのですが、伊納駅も旧駅舎を解体したあと、貨物車を利用した駅舎になりました。ただ、ここはちょっと変わっていて、なんと貨物車2両が並ぶ「ふたごタイプ」だったんです。

貨物車の駅舎が2両あった時代の伊納駅(Wikipediaより引用)

確かに高校生が数百人も利用しているなら、一両では待合室が足りませんよね。冬の旭川の気候は厳しいですし。でも、学校が廃校になったあとは、待合室として利用されなくなったため、一両撤去されたようです。

 

近くに「リスの家」という民宿があるらしい

今の伊納駅周辺がどんな感じになっているんだろうと思って、Googleマップのストリートビューでいろいろ見てみましたが、閑静な農村風景で良い味を出しています。

で、地図上の伊納駅の近くに「リスの家」という表示を見つけたので、何だろうと思い調べてみたら、なんと民宿でした。これはびっくり。民宿というか、まるで住宅のような洋風なコテージを1日1グループ限定で一棟貸ししてるようです。

これは良い。公式サイトで見る限り内装もオシャレです。

農村体験住宅 リスの家
農村体験住宅 リスの家: 暮らすように泊まる、農村の日常を体験できる民宿です。

外でバーベキューとかもできるようなので、家族で泊まりに行くのも良いかもしれませんね~。うんうん、これはロマンだ。

 
という感じの伊納駅ですが、今のJR北海道の経営状況を考えると、いつ廃止になってもおかしくありませんよね。2021年度のダイヤ改正では、駅を大量に廃止しそうな雰囲気だし、伊納駅も危ないのかも。

ときどき旭川に行く機会はあるので、共用されている間に一度行ってみたいですね。

 
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