今回は期待の大彗星「紫金山・アトラス彗星」のお話。
彗星といえば最近は、
「だ~って僕は星だ~から~♪ ステラステラ~♪」
の星街すいせいさんを思い出すのですが、今回は宇宙をかける天体の方の彗星です。
昨年3月にこんな記事を書いたのですが、
そのときはずいぶん先の話だなあと思っていた新彗星「紫金山・アトラス彗星」が、だんだん近づいてきました。
なんと言っても0等級の明るさになることが予想されている彗星ですからね~
楽しみで仕方ありません。
紫金山・アトラス彗星が現在9~10等級ぐらいの明るさ
前回の記事を読むと、2023年3月にはまだ木星軌道より遠いところにいて、地球から見た明るさも18等級と、天体望遠鏡でも観測が難しいような明るさでしたが、それから1年と3ヶ月が経過し、9~10等級程度まで明るくなってきているようです。順調ですね。
これぐらい明るくなれば、家庭用の天体望遠鏡で見ることができると思いますし、市販の一眼レフでも撮影が可能になります。
彗星というのは不安定な存在なので、明るさが変化したり、粉々になってしまっても不思議ではありません。無事に近づいているというのは、とても嬉しいニュースです。
最近撮影したという画像がXにも投稿されているので、いくつか紹介しましょう。
雲の合間から紫金山・アトラス彗星 夜のはじめ頃から大気は安定してきました。薄雲が次々と通り過ぎる悪コンディションでしたが、しばらく会えなかった彗星の姿をみられて一安心。来週からはいよいよ星はおあずけになりそうです。(ken)#NNS #気象 #山梨 #紫金山・アトラス彗星 pic.twitter.com/kOFZXwLe1w
— NNS 気象情報室【公式】 (@NNS_kishou) June 7, 2024
ひろの星をみる会 野田 司副会長撮影
『6月7日 紫金山・アトラス彗星』撮影日時:2024年6月7日 21時55分~22時02分
使用機材等:29秒露出×16枚コンポジット
キヤノン EOS6D、RAW(ISO 25600)
撮影地:自宅観測室(岩手県洋野町大野)
詳し撮影データ⇒https://t.co/7E1YdUu5wD pic.twitter.com/Ar7CL6Yjjj— ひろのまきば天文台 (@hironomakiba) June 8, 2024
もうずいぶんと尾が長くなっていますね。
近日点通過までまだ4ヶ月もあるのに、こんなに尾が見えるなんて素晴らしいです。
紫金山・アトラス彗星の現在の位置
紫金山・アトラス彗星の現在の位置についてです。
太陽系内の天体の位置関係を3Dで描画してくれる「The Sky Live」というサイトで、見てみましょう。
これによると、2024/6/14現在の位置は以下の通り。
昨年3月に見たときは木星軌道よりも遠く、土星軌道近くにいた紫金山・アトラス彗星ですが、現在は火星軌道のすぐ近くまで来ています。
少し角度を変えて拡大してみましょう。
ほぼ真上から見た構図です。
紫金山・アトラス彗星はまもなく火星軌道という位置にいます。そして、計算では約2ヶ月後ぐらいに地球の軌道にさしかかります。
ただ、残念ながら、現在の地球は彗星から遠ざかる方向に公転しており、彗星が地球軌道にさしかかる8月ころは地球は太陽の反対側に位置しています。これはとても残念ですね。もし彗星の往来が5ヶ月早かったら、地球の近くを通過するのことになるので、夜空いっぱいに広がる彗星の尾が観測されたかもしれません。
どっちを見れば観測できる?
2024/6/14現在、紫金山・アトラス彗星はおとめ座としし座の間ぐらいにいて、夕方の空に観測することができます。
この図のように、南西の少し西側に位置しています。
といっても、今日はすぐ横に月がありますので、これから数日は月の明るさで観測は難しいと思います。
この図は、もっとも彗星が地球に近づく2024/10/12の夕方の位置です。西の空、おとめ座のスピカの少し上の方に位置しています。この日は、まだ太陽に近く、日没後1時間程度しか観測できないので、タイミングが難しいかもしれません。あと4~5日ぐらいあとの方が太陽から離れて高度が高くなるので、観測しやすいかもしれませんね。
この図で、彗星の中心から左上に青い線が伸びていますが、これが予想されている彗星の尾の長さです。本当にこんなに長い尾が見えたらすごいですよね! 楽しみに待ちたいと思います。
前述のとおり、8月ぐらいは太陽の反対側に行ってしまうため、ほとんど地球からの観測はできません。観測が再開できるのは9月からになりますが、北半球で観測ができるようになるので、9月下旬からのようです。
こちらのサイトに色々と詳しい情報が載っていますので、参考にしてください。
それでは9月までに準備を整えて待ちたいと思います!