漫画「スーパー巨人」。ツッコミどころは多いが夢中になった日本初のパソコン(マイコン)SF漫画

今回は漫画のお話。それも昭和の漫画です。
先日、お墓参りに故郷の旭川に行ったのですが、そのときいろいろ思い出したので書き留めておきます。

週間少年チャンピオンに連載されていた「スーパー巨人(きょじん)」という漫画をご存じでしょうか?

 
Amazonで見たら第1巻の発売が1978年とのことなので、今から43年前ですね。
当時の週刊少年チャンピオンは全盛期で、鴨川つばめさんの「マカロニほうれん荘」、山上たつひこさんの「がきデカ」、手塚治虫さんの「ブラックジャック」などが連載中。今思うと黄金時代と言っても過言ではないでしょう。



そんな中、新しく連載が始まった滝沢 解さん原作・森村たつおさん作画の「スーパー巨人」、当時小学生だった私は夢中になりました。
それはおそらく日本初(もしかしたら世界初かも)のパソコン(マイコン)SF漫画だったと思います。

私は中学生になってパソコン少年になったのですが、その下地はこの漫画で作られたのかもしれませんね(笑)

 

漫画「スーパー巨人」あらすじ

それではスーパー巨人がどんな漫画だったのかというお話を。

主人公・本田工作は、趣味でマイコン(今で言うパソコン)を自作し、「ダン」という名前を付ける。完成後、ワクワクしながら起動するが、すぐに「スーパー巨人」と名乗る未知の存在からのメッセージが画面に現れ、ダンを乗っ取られる。

それからというもの、ことあるごとに工作とその家族はスーパー巨人からの攻撃を受ける。
機械仕掛けのゴキブリの集団を襲われたり、
管制システムがハッキングされ、工作の父親が運転する新幹線が事故を起こしそうになったり、
巨大冷凍庫に閉じ込められたり。

その都度、工作の機転と行動力でギリギリでかわしていく。

いったいスーパー巨人とはどんな存在なのか? 何が目的で工作を狙うのか?

多くの謎の中、マイコン少年・工作は果敢に戦っていく。

  

時代を先取り? インターネットがない時代にハッキングされるマイコン

連載時にリアルタイムで読んでいただけなので、細かい部分はうろ覚えなのですが、結構インパクトがある漫画だったので、43年経った今でも、一部はハッキリ覚えています。

まだ家庭用のコンピュータが「パソコン」ではなく「マイコン」だった時代。しかも、一部の趣味人しか持ってなくて、当然、インターネットもパソコン通信もなかった時代。そんな時代によくこんな漫画が描けたなあと、今思うと感心します。

なんせ、

「インターネット」という概念がない時代に、コンピュータが「ハッキング」されるんです!

これを時代の先取りと言わずになんと言いましょう。

新幹線の管制装置が乗っ取られて新幹線が大事故を起こしそうになる、とか、コンピュータがハッキングされる恐ろしさは、現代に通じるところがありますよね。

 

ツッコミどころは満載

そんなすごい漫画ですが、ツッコミどころはたくさんあります。現代から見ると、ではなく、当時の時代背景を持ってしても、さらに言えば小学生の目から見てもツッコみたくなる要素が満載です。

例えば・・・

・自作のマイコンを作っただけでなぜ巨大ハッカー組織に狙われたのか?
・電話回線も繋がってないのに、どうやってハッキングされたのか?(コンセントにつなぐと乗っ取られるから、主人公が自転車で発電するというシーンがあるので、この物語の世界では電力ケーブル経由でハッキングしてたっぽい?)
・工作と幼なじみのユリッペがイモムシの集団に襲われるシーンがあるが、ハッカー集団がどうやってイモムシを制御したのか?
・途中からダンが自由意志をもってしゃべるようになる。AI搭載か?!
・ダンを破壊するために東京湾を炎上させるとか、そこまでやる?!
・クーラーを暴走させて、街を凍らせるシーンがあるが、エアコンは排熱するので街全体は凍りません!
・結局スーパー巨人は何をやりたかったのか?!

などなど。

結局スーパー巨人の正体って何だったんだっけ、と一生懸命思い出そうとしたのですが、結局思い出せず。なんだか中途半端な終わり方をしたような気がしたので、最後まで正体が明かされなかったのかもしれません。

狂った人工衛星の集合体が意志をもって人類に敵対した、みたいな話もあったように思いますが、途中から宇宙人とか出てきてカオスになっていたような?

今思うと、作者は本当にスーパー巨人の正体を考えていたのか疑問になってきます(笑)

 

面白い漫画は、勢いがあればOK

誤解のないように書いておきますが、私はこの作品をバカにしているわけではありません。大好きな漫画でした。これに限らず、その当時の漫画は、それほどストーリーの整合性とか気にしていなかったんですよね。

・頭の良い少年がパソコンを作った
   ↓
・謎の組織に目を付けられた
   ↓
・なぜか命を狙われることになった
   ↓
・主人公の機転と行動力で危機を乗り越えていく

これだけで十分面白かったのは間違いないです。勢いがあれば十分なんです。毎週ドキドキしながら読んでいました。古き良き時代の名作ですね。

 
うーん、今この記事を書いて思いましたが、この漫画、今でも十分通用するような気がします。もちろん、現代のテクノロジーに合わせてリメイクする必要はありますが、しっかりと構成してリメイクすれば面白い作品になるような気がします。

どこかのアニメ会社でOVA作ってくれないかな?!