いやはや、やってくれましたね。
NASAでもなく、ロシアでもなく、もちろん日本のJAXAでもなく、、なんとアラブ首長国連邦(UAE)がこんな発表をしてくれちゃいました。
100年後に火星に都市建設! ”マーズ2117計画”
2017/2/14、ドバイで開催された第5回世界政府サミットの最終日に、UAEの副大統領兼首相でドバイ首長のムハンマド・ビン・ラーシド・アール・マクトゥーム氏が、この計画を発表。いきなり火星に都市建設です。すごい夢のある話ですよね。こういうの大好きです!
ただ、いろんなものをすっ飛ばし過ぎのような気がしないでもないです。人間はまだ火星に行ったことすらありませんし、地球の目の前にある月ですら、最長3日間しか滞在した実績がありません。いや、その前に、UAEは現時点では宇宙開発自体をやっていないのです。
それでも、UAEは本気です。とりあえず2021年までに宇宙庁を設立し、無人探査機を火星軌道まで到達させるプロジェクトも発表しています。まあ、技術的には他国がすでにノウハウを持っていますので、お金をかければ追いつくことは可能かもしれませんね。
ムハンマド氏も、この計画をこう語っています。
「私たちは敢えて火星到達という壮大な挑戦を選択しました。それは困難な課題に挑戦することが、私たちが前進し続ける動機の源泉となっているからに他なりません。」
うん。これはとても大事なことのように思います。大きな目標無くして進歩はあり得ませんからね。
さて、それでは現実問題として、火星に都市を建設すると言うことを考えたとき、何が必要なのかを考えてみましょう。これは、以前書いた月の水の話と似ています。
◆酸素の調達
火星に限らず、宇宙開発における最も重要なポイントはこれでしょうね。人間が生きるためには酸素が必要です。ある程度は地球から持っていくことができますが、長期間滞在する分を運ぶのは無理です。
幸い、火星においてはこれは何とかなりそうです。火星の大気には多くの二酸化炭素が含まれています。電気があれば、これを分解して酸素を作ることができます。このためには大量の電気が必要となりますので、太陽光パネルや、何らかの発電システムを運ぶ必要があります。
◆水の調達
酸素と並んで重要なものは水です。これがないと人は生きられない上に、食料を生産することもできません。では、火星に水は存在するのか?
これはまだ確定された学説ではありませんが、21世紀に入ってからの幾度にもわたる無人探査の結果、かなり高い確率で氷や液体の水が存在していると考えられています。実際に地表を流れている水は確認されておりませんが、水が流れた跡のような筋がたくさん確認されており、それらがときどき成長しているらしいです。
これについては、今後の無人探査や短期間の有人探査でハッキリさせないと、都市計画の根底が大きく変わりますよね。
◆地下資源の情報
これまで何度も無人のローバーを走らせているので、ある程度は分かっていますが、火星の地面の下には、どんな地下資源があるのかも知る必要があります。なぜなら、都市を造る物資をすべて地球から運ぶとなるととてつもないコストがかかる(というか現実的に無理)からです。
できるだけ多くのものを現地調達する必要がありますので、これらの調査はとても重要です。もし、エネルギーになるような物質があるのなら、地球へ帰還する燃料は火星で調達できますからね。
◆リサイクル技術の開発
これは火星側ではなく、地球で開発が必要なものですが、このような宇宙での都市は、狭い範囲での閉鎖空間になります。その内部では、可能な限りリサイクルを行い、いろいろなものを再利用する技術が必要になると思われます。
こんなところでしょうか。
まああとは、軽くて丈夫な素材とか、薄くても気密性が高い素材とか、そういう技術革新があれば、いろんな面で楽になりますし、もっと効率のよい太陽光発電システムとか、核融合炉の実用化、超伝導物質の実用化など、「あった方が良い」技術はたくさんありますので、そういうのも期待したいところですね。
さてさて、100年後、人類は本当に火星に住めるようになるのかな?
私はたぶん生きてないですが、期待したいと思います。