ちょっと古い記事ですが、こんな話題を見つけましたのでシェアします。
地球から約400光年の距離にある太陽系外惑星に、土星よりも遥かに大きなリングが発見されたという話です。
土星の200倍のリングを持つ天体・J1407b
宇宙というものは広大で、いろんなものが存在しているので、地球上でちまちまと想像を巡らせている私たちには思いつきもしないようなものもたくさんあるんだろうと思います。
今回の話もそんなもののひとつですね。
地球から見てケンタウルス座の方向434光年の場所に、「J1407」という恒星があります。(正式には「1SWASP J140747.93-394542.6」。「ケンタウルス座V1400星」とも呼ばれている)
J1407は太陽系の太陽とほぼ同じ大きさ(直径が0.99倍)で、見かけの等級は12.31ということです。この明るさだと、肉眼はもちろん、家庭用の望遠鏡でも見ることが難しそうですね。
そして2012年、その恒星J1407に、土星のような輪を持つ惑星「J1407b」が存在していると発表されました。
ロチェスター大学の研究チームが解析した結果、その輪は37個もあり、驚くべきその半径は約9000万km。なんと土星の輪の200倍もの大きさになります。スケールがピンと来ませんが、9000万kmというと、地球から太陽の距離の0.6倍にあたります。
※参考記事
MODELING GIANT EXTRASOLAR RING SYSTEMS IN ECLIPSE AND THE CASE OF J1407B: SCULPTING BY EXOMOONS?
この惑星を太陽系の土星の位置に持ってきたら、リングは満月よりも遥かに大きく見えるそうです。あー、これは幻想的ですね、ぜひ観てみたい。
J1407b自体も大きな惑星で、木星の10倍以上はあるようですが、それにしても不釣り合いに大きなリングですよね。J1407系における正確なスケールで描いたイメージ図があったので、シェアします。
リングが大きすぎる・・・・(笑)
どうやってリングの存在が分かったのか
まあ、広い宇宙のことですから、こんな大きな輪を持つ天体があってもおかしくはないでしょう。
でも、私が気になったのは、そんな400光年も先にある天体に輪があることをどうやって調べたんだろう、ということです。主星であるJ1407でさえ肉眼では見えないですし、どんな高度な望遠鏡を使ってもその惑星の姿を捉えることはできません。遠すぎです。暗すぎです。
ポイントは「食」のようです。
2007年、4月から5月の56日間にわたって、主星であるJ1407が大きく減光したらしいです。一般的に恒星の明るさというのはかなり安定しており、明るさが変化するケースでも正弦関数のように規則的な変化になります。でも、J1407のこのときの減光は突如として発生し、最大で3等級以上暗くなったとのことです。
この現象を研究者たちは、J1407の手前に別の天体が通過する際に発生した「日食」だったと予想し、その間も明るくなったり暗くなったりしていたことから、隙間がある土星の輪のようなものが光を遮っていたのでは、と考えました。
そして、惑星の公転周期や、減光していた期間から逆算し、輪の大きさを推測したということです。
うんうん。話はなんとなく分かります。実際、遠くの星系にある惑星は、その惑星が主星の光を遮り、わずかながら減光する用を観測することで発見しますからね。今回はその減光が極端で波打っていたので、「輪がある」ことに結びついたんですね。
ただ、その観測だけだと、惑星自体の大きさや質量が判明しないので、公転周期や公転半径などが推測の域を脱しないように思いますがどうなんでしょう? 未知数が2つあるのに方程式が1つしかない、みたいな印象を受けます。もしかしたら、リングはもっと大きいのかもしれませんよ?
まあ、一度の観測だけでいろいろと判断するのは難しいです。当然、J1407の減光現象がこれから何度も観測されるでしょうから、その中で精度を上げていけばよいですよね。
ワクワクしながら新しい情報を待つとしましょう。