エトピリカ国内絶滅の危機。ユルリ・モユルリ島に数組のつがいが生息するのみ

海鳥・エトピリカ。Alan D. Wilson氏の撮影(wikipediaより引用)

国内絶滅危惧種に指定されている海鳥・エトピリカ。私はいつかこの目で野生のエトピリカを見てみたいと思っているのですが、非常に難しくなってきました。こんなニュースがありました。

エトピリカ、数つがいに 減少止まらず保護団体警鐘 - 日本経済新聞
オレンジ色の大きなくちばしで知られる海鳥エトピリカの生息数減少に歯止めがかからない。環境省によるとロシアが実効支配する北方領土を除くと、北海道根室市の無人島のユルリとモユルリで数組のつがいが確認されるだけとなっている。同省のレッドリストで絶滅危惧種とされ保護活動が行われているが、保護団体からは「もはや手遅れ」との声が上がる。生息域は北太平洋沿岸に広く分布しているが、国内では1970年代から生息

なんと、国内には数組のつがいしかいなくなってしまったようです。

 

エトピリカとは

エトピリカは冒頭で写真を紹介しましたが、黒いボディ、白い顔、赤いクチバシというとても個性的で美しい鳥です。体長は40cm、体重は750gほど。チドリ目・ウミスズメ科に分類される海鳥です。名前はアイヌ語の「エト(クチバシ)、ピリカ(美しい)」に由来するらしいです。

世界的に見ると、東北海道、千島列島からアメリカカリフォルニア州にかけて、北太平洋沿岸の広い範囲に生息しており、世界的に見ると珍しい鳥ではないのですが、日本国内では年々生息数が減ってきています。

日本では、北海道東側の厚岸町、浜中町、根室市の離島で繁殖しており、1960年には250羽ほど確認できたのですが、上記のニュースによれば、現在は根室市沖のユルリ・モユルリ島の「数組のつがい」しかいなくなってしまったとのこと。

根室市長節あたりから撮影したユルリ島(右)・モユルリ島(左)。2020年3月撮影

 
島でのエトピリカの様子がわかる動画があったので共有します。

 
これ、貴重な映像ですね~

 

エトピリカは何故減ったのか

なんでエトピリカは減ってしまったのか?
現在考えられている原因は以下の2つ。

(1)漁業による混獲
 エトピリカは海に深く潜って魚を捕るため、漁業の網に引っかかってしまうことがあるらしいです。そんなエトピリカを保護するため、2006年に漁協により禁漁区の設定を行ったとのことです。

(2)温暖化による餌の魚の減少
 地球温暖化による海水温上昇によって、生態系が変わり、エトピリカの餌になる魚が減ったのでは、と言われています。

うーん。こうやって考えると保護するのが難しい鳥ですね。

餌は潜って獲る。
1年の大半を外洋で過ごす。
営巣は断崖で行う。しかも無人島。

対策として何かが出来るとすれば、漁業の際に気をつけるぐらいしか無いように思いますが、付近での刺し網漁を禁止しても減少が止まらないとすれば、なかなか次の一手が難しいですね。年中通して北海道の陸上で過ごす丹頂鶴の保護とは訳が違いますねー。

すぐ近くの色丹島や歯舞群島ではたくさん生息しているようなので、その違いを研究してみるといいかもしれませんね。

何にしても、今後増えていってくれることを祈っています。

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