雪の国鉄・奥白滝駅
灰色の空から降ってくる細かい雪が、冷たい北風に吹かれて頬に当たる。
昨日、出勤しようと思って家を出たら、そんな感じの天気でした。そういう天気の日には必ず思い出す場所があります。高校時代の2月、無意味に列車に乗るのが好きだった私は、あまり予定を立てずに友達と旭川駅から国鉄・石北本線の普通列車に乗りました。列車に中で時刻表をめくり、決めた行き先は「奥白滝駅」。
奥白滝駅は大雪山系北部の山の中の駅で、標高は513m。駅舎はあるけど、オンボロの無人駅。駅から出てみると、見渡す限りの山々と細かい雪の吹雪。ちょうど、昨日のような雪だったんですね。
農家の家なのか倉庫なのかよく分からないものが数件あるだけで、あとはなんにもない。帰りの列車まで2時間ぐらいあったので、寒い中ウロウロしてみると、「~~までスキーで○○分」という謎の看板を見つけ、カルチャーショックを受けたりしていました。
そして、高校生の私は思いました。
「なんでここに駅があるんだ?!」
その後、国鉄はJRに変わり、しばらくは存続していたものの、その付近に住民がまったくいなくなったため、思い出の奥白滝駅は廃止となりました。2001年6月30日のことです。
石北本線の秘境駅・白滝シリーズ
今で言うと、その奥白滝駅はまさに「秘境駅」だったと思うのですが、実は当時、石北本線には「白滝」が付く駅が5つもありました。
(旭川方面)← 上川-天幕-中越-上越-奥白滝-上白滝-白滝-旧白滝-下白滝-丸瀬布 → (遠軽方面)
この地域は、当時白滝村のエリアだった(現在は遠軽町白滝)ので、そういう名前が付いても不思議ではないのですが、そもそもなぜ人口1000人程度の村に駅が5つも必要だったのか。駅が設置された1932年(昭和7年)は、それなりに大きな集落があったんでしょうね。
と思って、今調べて見たら、1953年(昭和28年)の白滝村の人口は4600人だったようです。遠軽町と合併する直前の2004年の人口は1169人なので、すさまじい減少率ですね。
そんな白滝の駅たち、密かに鉄道マニアの間では「白滝シリーズ」と呼ばれ人気になっていましたが、奥白滝駅は早々に廃駅(信号所に格下げ)になってしまい、その他4つの内、上白滝、旧白滝、下白滝の3つは2016年3月で廃止、今は白滝駅のみが存続しています。ここは特急も停まる駅ですので、石北本線が存続する限り大丈夫でしょう。
たった1人の女子高生のために存続させた旧白滝駅
白滝シリーズの内、旧白滝駅についてはちょっとしたエピソードがあり、テレビでも取り上げられたので一時全国的に有名になりました。あ、ちなみに「旧白滝駅」という駅名は、「昔、白滝駅だった建物」という意味ではなく「旧白滝」という地名から付けられた駅名です。
この駅も近年はほとんど利用する人がいなかったのですが、2016年3月まで存続していました。何故か? それは、
1人だけ通学のために毎日利用している女子高生がいたから
なのです。
そして旧白滝駅は、この女子高生の卒業を待って廃駅となりました。
なんという・・・。
こんなことがあるんですね。たった1人の女子高生が存続させた駅。
この話はテレビで紹介されて、この女子高生の方もちょっとした有名人になってしまいました。心温まる話ということで海外からも絶賛されたとか。でも、ちょっと気の毒ですね・・・(^_^;) (検索したら実名付きで写真がいっぱい出てきました)
まとめ
そんな旧白滝駅も上白滝駅も下白滝駅も2016年に廃駅になってしまいましたし、実は、奥白滝よりも向こう側の駅も奥白滝と同時に廃駅となっていました。その結果・・・・
<2000年の石北本線>
(旭川方面)← 上川-天幕-中越-上越-奥白滝-上白滝-白滝-旧白滝-下白滝-丸瀬布 → (遠軽方面)
<2017年の石北本線>
(旭川方面)← 上川-白滝-丸瀬布 → (遠軽方面)
スッキリしすぎだろ!!
上川駅の次が白滝駅って、すごいスパンですよ? 距離にして37.3営業キロ。これは全国のJRグループの中で、最長だそうです。微妙な日本一だ・・・(^_^;)
でわでわ。