グランド・プリズマティック・スプリング|異世界を思わせる虹色の泉

 昔から異世界というものは漫画や小説などのフィクションの中でたびたび語られてきました。空が緑色だったり、月が2つあったり、その描写は様々ですが、幻想的だったり不気味だったり「現実離れしている世界」であることが多く、私のような妄想家(?)にはあこがれの世界だったりします。

 しかしながら、「事実は小説よりも奇なり」という言葉があるように、実はこの現実世界にも、「まるで異世界」のような風景が存在しています。そのひとつがこれ。アメリカのイエローストーン国立公園に存在している「グランド・プリズマティック・スプリング」。

  グランド・プリズマティック・スプリング(Grand Prismatic Spring)

  グランド・プリズマティック・スプリング RETRIP様より引用

私はこの写真を初めて見たときは、松田優作化してしまいました。

「なんじゃこりゃ!!」
 

グランド・プリズマティック・スプリングって何ぞ?

 いったいこのグランド・プリズマティック・スプリングというのは何なのか? 上の写真だけではサッパリわかりませんよね。

これは天然に存在する泉のようなもので、その直径は100mぐらいの規模の水たまりです。ただ、「水」というのが語弊があり、地下からここへ湧き出てくるものは70~90℃の熱水。そうです、いわゆる温泉なのです。場所は、アメリカ合衆国ワイオミング州のイエローストーン国立公園の中にあるミッドウェイ間欠泉地域というところにあります。

1871年に行われたハイデン地質調査において、この不思議な色彩に注目した地質学者が、こう名付けたそうです。

グランド・プリズマティック・スプリング(雄大なプリズムのような泉)
 

なぜこんな色彩になるのか?

  グランド・プリズマティック・スプリング(Wikipediaより引用)

  グランド・プリズマティック・スプリング(Wikipediaより引用)

 ただの温泉なのに、なぜこんな不思議な色彩になるのか? 中心部は美しいエメラルドブルーで、外側に行くにつれて、緑 → 黄 → オレンジ → 赤と、まるでカラーチャートを見ているかのような色ですよね。たいていの水は青く見えるので、青は分かるとして、それ以外の色はどこから来たのでしょうか。

答えは、バクテリアです。

この泉の周辺には好熱性のバクテリアが生息しており、そのバクテリアがこのような色を放っているようです。泉の中心部は水が高温すぎてバクテリアが存在できないらしく、この部分のみ本来の水の色の青で、周辺に向かうにつれてバクテリアの量が多くなり、赤が強くなっているようです。(中間色部分の彩色のメカニズムがどうなっているかはよくわかりません)

誰かが狙って作ったわけではないのにこの鮮やかさ。まさに天然に芸術ですね!
 

近くで見ることができる

 こんなに神秘的な風景なので、どんな秘境にあるのかと思えば、実はここはかなり観光地化されていて、ものすごく近くで見ることができるようです。上の写真をよく見ると、上部に遊歩道とたくさんの観光客が写っていますよね。

ただ、前述のとおり、大量のバクテリアが繁殖している場所ですので、遊歩道から降りるのは危険のようです。もちろん、温泉のような感覚でお湯に浸かるのは自殺行為です。ご注意を!

  グランド・プリズマティック・スプリング。このような小さな泉も。(引用元)

  グランド・プリズマティック・スプリング。このような小さな泉も。(カラパイア様から引用)

 

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