100年に一度咲く花・リュウゼツランとはどんな花? 高1時代に植えた株が87歳で開花

昭和25年(1950年)のこと、神奈川県伊勢原市に住む高校1年生の男の子が、学校から30センチ大のリュウゼツランの株をもらって自宅に植えました。

100年に一度しか咲かないリュウゼツランは、やはり咲くことはなかったけど、その子は大事に育てました。

時は流れて令和3年(2021年)、87歳の夏。ついにそのリュウゼツランが開花。植えてから71年目の出来事でした。

 

 

100年に一度咲く花・リュウゼツランってどんな花?

いい話ですね。
最近のニュースは殺伐なものが多く、読むのがイヤになっていましたが、こういうのがあると心が洗われるようです。

71年間も育ててきた花がようやく咲いた気持ちってどんな感じなんでしょう?
そもそも、ひとつのものを71年間も大事にすることなんて、今の世の中とてもレアなことのように思います。そもそも、高校生時代と87歳のときで同じ家に住んでいることが奇跡ですよね。

私が高校生時代に住んでいた土地は父親が死んだ後、他人の手に渡り別の家が建ってますし、その家だって、私が87歳になるまでにはどうなっているか分かりません。

今の時代、ひとつの土地にずっと住み続けるというのは、とても難しいことのように思います。

 
さて、その100年に一度咲く花・リュウゼツランというはどんな花なのでしょうか?

生物として考えたとき、その花が100年に一度しか咲かない(実際は50年ぐらいで咲くこともあるらしい)ということにいったいどんな意味があるのでしょうか?

そもそも「花」というものは、その植物にとっては「種」を残すためのいわば繁殖行為なので、それが「100年に1回でよい」ということは、その1回でものすごい数の種を拡散できるのか、それとも100年が短く感じられるぐらい長寿の植物なのか、どっちかなんだろうなと思ってました。

で、調べてみると、リュウゼツランは「一回結実性」で、一度花が咲いて実がなると、あとは枯れるだけなんだそうです。となると後者ではないですね。

Wikipediaによると、

また数千という多数の花をつけるが、結実するのは上の方の2-3割の花で、残りの花は人工授粉をしても結実しない。下の方の花は花粉をより多く供給するため、また花茎が折れた時などの保険として咲いていると考えられている
Wikipediaより引用

とありますので、はやり一度にたくさんの種を作ることが出来るんですね。100年に一度しか咲かないのに、わずかな種しか残せないなら、その種はあっという間に絶えてしまいます。

2010年、大阪府立花の文化園で咲いたアオノリュウゼツランの花。KENPEI, CC BY-SA 3.0, via Wikimedia Commons

また、

種子による繁殖以外にも、球芽を形成したり、茎の根元から蘖(ひこばえ)を密生することによって、新しい個体を増殖する。
Wikipediaより引用

ともありますので、「種」以外にも繁殖の手段があるってことなんですね。植物ってすごいな。

 

「リュウゼツラン」という名前と成長過程

リュウゼツラン竜舌蘭

葉が竜の舌のように見えるからこの名前が付いたのですが、学術的にはラン科の蘭とは関係ないようです。
キジカクシ目キジカクシ科リュウゼツラン亜科に含まれる植物です。

リュウゼツランの葉。 Stan Shebs, CC BY-SA 3.0, ウィキメディア・コモンズ経由で

 
言われてみれば「舌」に見えますが、竜かどうかはわかりません(笑)

リュウゼツランは、この地面から直接葉が生えているような姿で何十年のすごし葉に栄養を貯めていきます。そして、開花期になると、急激に花茎が成長し、わずか2ヶ月で10mもの高さになるそうです。

上で紹介したニュース記事に、

5月初めに突然、1本の幹が7・5メートルまで伸びると、約30個の花房を付け、今月10日頃に花を咲かせた。
ライブドアニュースより引用

とあり、意味が分からなかったのですが、リュウゼツランは開花する年に急激に茎が伸びる植物なんですね。地面に葉っぱが生えているだけの姿から、いきなり7.5mの茎が現れたらビックリしますね。ほとんど別の植物です(笑) 定点カメラで成長の様子を追ってみたい。

 
世の中には不思議な植物があるんですね。
ちなみに、「100年に一度咲く花」というのは間違いで広まった噂らしく、実際は50年前後で咲くみたいです。どちらにしても気の長い話ですけど。

そんな不思議な植物が紡いだ、1人の少年の一生をかけたロマン。こんなこともあるから人生は悪くないですね。
 

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