このブログの中で、わずか数記事しかないピアノに関するページに、意外とたくさんのお客さんが来てくださっています。1月にアップしたドホナーニの記事は、このブログの人気記事ランキングの上位に上がってくるようにもなりました。
私のようなピアノ初心者が書いている記事で恐縮なのですが、需要があると感じているので、これからもときどき書いていこうと思っています。
今回は、そんなピアノ独学に関する話題で、「おとなのハノン」という教本について書きたいと思います。あくまでも「ピアノを習ったことがない初心者の感想」ということをご理解の上、お読みいただけるとありがたいです。
ブルグミュラーの左手の32分音符が動かなかった話
いきなり話が逸れてしまうのですが、独学でピアノを始めて4年目に突入した今年(2021年)1月の話です。
当時、「バーナムピアノテクニック2」と「ブルグミュラー25の練習曲」を平行して練習していたのですが、ブルグミュラーの第8番「優美」の後半つまずきました。
なんと、左手の32分音符が弾けない!!
なぜ? どうして?!
確かに左手の32分音符なんて今までの教則では出てこなかったけど、一昨年あんなにハノンの練習をしたのに!!
そうなんです。ピアノを始めて2年目のこと、バイエルの後半を練習していたのですが、
・音の強弱にムラがあった
・速いフレーズは音が滑る(リズムが崩れる)ことが多かった
ため、もっと指を鍛える訓練が必要だと思い、ハノンの練習を始めました。
とは言え、ホンモノの「ハノン」は、初心者向けではないため、少し簡単にアレンジされている「おとなのハノン」(大岩佳子さん著)を選びました。アレンジ版のハノンはたくさん出版されていますが、当時読んでいたブログで絶賛されていたので、これを選びました。
おとなのハノン(大岩佳子さん著)について
この教本が「あたり」でした。というか私に合ってたんですね。結果を先に言ってしまいますが、ものすごく指がスムーズに動くようになりました。
バイエルの後半と平行してこれをやり、半年以上続けたのですが、それまでぎこちなかったフレーズがスムーズに弾けるようになったし、音の強弱も安定してきました。効果抜群です!
まず、原版のハノンとの違いですが、大きな点として、
①原版の1~20番までがメインに構成されている
②原版は16分音符だが、これは8分音符になっている
③原版は2オクターブ上がって下がるが、これは1オクターブになっている
という違いがあります。
モチベーションの維持という視点では③が効果的で、1オクターブ上がって下がるだけなので、楽譜がとても見やすいです。8分音符になっていることも、メトロノームに合わせやすいという点でやりやすかったです。
あと、上の写真を見ていただけると分かりますが、オクターブ上がり終わったあとの8小節目に、短い別のフレーズが挿入されています。これは原盤にはありません。私は最初、ここで一度流れが途切れてしまうため、なんかイヤだったのですが、あとでこれの効果がわかりました。
著者が意図したことかどうかはわかりませんが、このワンフレーズがあるおかげで楽譜を見ながら弾かなければならなくなったのです。
ハノンの練習曲は単調なので、最初の1フレーズを覚えてしまえば、あとは楽譜を見なくても弾くことができます。でも、この教本は最後に別のフレーズがあり、そのフレーズが曲ごとに違うため、楽譜を見ないと間違ってしまうのです。おかげで、このハノンは完全にブラインドタッチで弾けるようになりました。
そして、この教本の最大の特徴はこれ。
この写真が1番の下の部分なのですが、リズムを変えたアレンジのバリエーションが載っています。しかも、1曲に対して3つもバリエーションがあるんです。
私は自分がピアノの独学をするに当たって、ものすごくたくさんの先生のサイトやブログを拝見したのですが、「ハノンはリズムを変えた練習もするべし」というのが共通の意見でした。(むしろそっちの練習の方が大事という先生も)
リズムのバリエーションなんて自分で編み出すことはできないので、こうやってあらかじめ書いてあるのは本当にありがたかったです。
とはいえ、最初はノーマルで弾くのも大変なので、全部のバリエーションをコンプリートするのは至難の業です。私もこれから時間をかけてやっていきます。そういう意味では一生使える教本ではないでしょうか。
あと原版との違いについてですが、原版のハノンは1から60番まであるのに対して、この「おとなのハノン」は、
・1~20番の簡単アレンジ版(順番は変わっている)
・32~34番(指くぐりの練習)の簡単アレンジ版
・39番(全調のスケール)の簡単アレンジ版
しかありません。
ただ、それ以外にも初心者向けの基本的な指の訓練が結構載っていますので、これ一冊でかなりのボリュームになっています。
私の実際の練習方法について
さて、参考になるか分からないのですが、私が実際にやった「おとなのハノン」の練習方法をお話ししたいと思います。
あいにく師事している先生がいないため、ネットで情報収集した上で、自分で考えた練習方法です。
◆まずは♩=120の速度で弾けるようになる
原版のハノンには♩=60~108となっておりますが、おとなのハノンは16分音符が8分音符に改変されているので、♩=120~216で同じスピードとなります。そこで、まずはその範囲で最もゆっくりな♩=120で弾けることを目標にステップ3(ハノンの簡単版が始まる章)の1番から始めました。
メトロノームを聞きながらしっかりと速さと強さが一定になるように弾き、さらにできるだけ鍵盤を見ずに、楽譜を目で追いながら弾くように心がけました。
そして、間違えずに弾けるようになったら次の曲に移る、ということを繰り返し、4番まで弾けるようになったときに、次の練習に入りました。
◆速度を10ずつ上げて、♩=160の速度を目指す
♩=120で4曲弾けるようになったので、それを1ブロックとして、高速化にチャレンジしました。♩=130で弾いてみて、弾けるようなら次は♩=140という感じ。
とりあえず♩=160を目指して練習したのですが、私の場合、150と160の間に大きな壁があったようで、なかなか160に到達できませんでした。そこで、とりあえず長い目で見ることにして、(便宜上決めた)次のブロックである5~8番の練習を始めました。
こうやって♩=120で4曲弾けたら、それの高速化。そして高速化に疲れたら(飽きたら)、次の4曲を♩=120からスタート、という感じで進んでいきました。
◆やった曲は毎日繰り替えす
このあたりが他の教本と違うところですね。ハノンは、練習が終わって弾けるようになった曲でも、必ず毎日繰り返し弾くことが重要だそうです。ハノンは「弾けるようになること」が目的ではなく「指を鍛えること」が目的ですので、弾けるようになったあともひたすら繰り返し弾き、スピードアップを目指しました。
◆20番までやったらとりあえず一段落
どこかの先生のブログで「ハノンは20番までしっかりやれば十分」というのを読んだので、1番から20番までやった時点で一段落とし、あとはひたすら繰り返しました。半年後、苦手な曲は何曲かあったものの、大体の曲が♩=170ぐらいで弾けるようになりました。
◆リズムのアレンジを含めて毎日練習
一通り弾けるようになった後は、例の下段に描かれているリズムアレンジ版の練習も交えて練習するようにしました。ただ、これも苦手なリズムがあったため、結構苦労しました。(というか、リズムアレンジは今でもスムーズに弾けないのがあります)
半年以上これを繰り返していたら、指が本当にスムーズに動くようになりました。バイエルに戻っても、今までぎこちなかった曲が堂々と弾けるようになりました。効果グンバツです。
2年経ったいまでもリズムの練習はときどきやっていますし、1~20番までを高速で通して弾いたりもしています。スピードはどんどん進歩して、今ではノーマルリズムだと♩=200ぐらいで弾けます。苦手な曲もありますが・・・(笑)
ステップ10のスケールの練習とかはまだやっていないので、この教本にはまだまだお世話になる予定です。
なぜ左手の32分音符が弾けなかったのか?
それでです!!
話は冒頭に戻りますが、ここまで鍛えたのに、ブルグミュラー8番の左手の32分音符は弾けなかったのです! それは一体何故か?!
実はとても簡単なお話だったのです。
私はこの事件の後、ハノンに戻って高速で弾いてみました。やっぱり弾けるんです。「なんでブルグミュラーは・・・?」と思って気がついたのです。私は、
「左手だけでハノンを弾いたことがなかった」
のです!
普通、ピアノの練習をするときは、片手ずつ練習して、弾けるようになってから両手を合わせるので、こんなアホなことはありえないのですが、ハノンの場合、右手と左手の旋律が全く同じなので、いきなり両手で弾き始めて、そのまま両手で高速化をしていたのです。
試しに左手だけでハノンを弾いてみたら間違うこと間違うこと(汗)
両手で弾くというのは一見難しいことのように思えますが、右と左で旋律が同じ場合は、片方に釣られるので、逆に楽なのかもしれません。
ということで、今年の1月からは、「左手だけでハノン」の練習をしていました(笑)
みなさん、教材の使い方は間違えないようにしましょう~
おしまい