「事実は小説よりも奇なり」と申しますが、本当にこんなことがあるのかと思うことがあります。
北海道の檜山振興局のせたな町大成区(旧大成町)付近の国道229号線は、ずっと日本海が望める素晴らしいドライブコースなのですが、海岸沿いに珍しい形の奇岩がたくさんあることでも知られています。そんな中のひとつがこれ。
一般に「親子熊岩」と呼ばれている景勝地のひとつなのですが、その名を聞くまでもなく、誰が見てもこれは熊にしかみえません。本当に天然のものらしいのですが、もし人間が作ったとしても、これほどリアルな熊にはならないように思います。
この地域には、この熊岩にまつわる伝承が残っており、それは、この熊岩の駐車場の看板に書かれています。以下、その看板の引用です。
親子熊岩物語
大昔、この地に天変地異をもたらす大嵐があり、生物の生存をおびやかし、自然の猛威は飢餓という試練を与えた。
この頃、山奥に親子の熊が棲んでいたが飢えをうったえる子熊を連れ、海岸に辿りついた。
親熊は海岸に群れる子蟹を見つけ食べさせていた。子熊も親のしぐさを真似て子蟹を追ったが、一瞬のうちに岩をすべり海中へ……
親熊は夢中で溺れる子熊を助けるため手を伸ばすがぬれた岩に足をとられ、無残にも海中へ……
一部始終を見ていた海の神様は、子を思う親の愛の深さに心をうたれ、溺れる親子熊をすくいあげ、愛の姿をそのままに岩に変身させたのだった。せたな町 国民宿舎 あわび山荘
なんとも悲しいお話ですが、最後は神様に良いところを持っていかれました。
この物語を読んだ後にこの親子熊岩を見ると、また別の感情が湧いてきます。
熊さん、ずっと一緒にいられて良かったね。
(ん? でも、助けるなら岩にする必要があったのか?)
親子熊岩の場所はこちらです。
ちなみに上の写真は1999年に撮影したものなので(古すぎだろ)、もしかしたら若干ディテールが違うかもしれません。
余談ですが、このころはまだデジカメというものがそれほど普及していなくて、機種もそれほどたくさん無かった時代です。この写真はデジカメですが、一眼レフでもないのに、結構高いカメラでした。今は無きコダックのデジカメですね。(コダックという会社はまだあります。デジカメの生産が終了したというお話(^_^;))
さすがにフィルム屋さんが作るデジカメで、とても発色が良くて気に入っていたのですが、美瑛のマイルドセブンの丘で、私が転んだ瞬間におシャカになりました(涙) 海の神様はこちらは助けてくれませんでした。(当たり前だ)