夕方、太陽が沈んだあとの西の空に、
強く、まぶしく輝く一番星を見つけたことはありますか?
宵の明星。
太陽系第2惑星の金星です。
昨日、金星探査機「あかつき」が、金星の周回軌道投入に成功したと発表されました。実に5年越しの悲願達成です。
金星探査機「あかつき」(イメージ図) 画像提供:(C) 宇宙航空研究開発機構(JAXA)
金星探査機あかつきは、今から5年前の2010年5月に種子島から打ち上げられ、半年の航海で金星付近に到達しました。そして同年12月、金星の周りを回る軌道投入にチャレンジ。
金星は太陽の周りを回っており、あかつきはその金星を後ろから追いかける形で、アプローチを行いました。そのままの勢いでは、スイングバイのように突き抜けてしまうため、金星に再接近するタイミングでエンジンを噴射し減速。勢いが無くなったところで金星の重力にトラップされ、衛星として周回軌道に入る予定でした。
しかし、その瞬間にトラブル発生。
減速のための噴射は最低でも9分20秒必要だったのですが、あかつきが地球から見てちょうど金星の裏側に入り通信ができなくなったあとに何らかのトラブルが発生。あかつきはあらかじめプログラムされたとおりに、トラブル解決を優先。結果、噴射を2分30秒で中断してしまい、予定より減速できなかったため、軌道投入は失敗に終わりました。
探査機はやぶさの帰還の興奮も冷めない中、私のこの日のあかつきに注目していたので、失敗のニュースにガッカリしたのを覚えています。
しかし、JAXAのスタッフは諦めなかった。
はやぶさ以来、このあきらめの悪さがJAXAの素晴らしさになっているように思います。
金星上空を突き抜けたあかつきはどこに行ったか? 簡単です。金星と似たような軌道で、太陽の周りを回り始めたんです。似た軌道を回っているならいつかまた金星に追いつくはず。そのときにもう一度周回軌道への投入をチャレンジしてみよう・・・・
計算上は約7年。でも、軌道の微調整を行えばもう少し早いかも。そんな気の長い話でしたが、私はワクワクしながらそのときを待ちました。
それが、2015年12月7日。つい3日前に出来事だったんですね。
おめでとう、あかつき。
これから頑張っていろんな観測をして、私たちに素晴らしい情報を提供してください。