今回はスマホの格安SIMのお話。
2020年の年末からスマホのデータ通信料金の競争が激化し、以前と比べると信じられないほど低価格化が進みました。
月6,000~7,000円が常識だったのは大昔の話。今では月2,000円も出せばそこそこ大容量の契約が可能となっています。
そんな時代にあっても、さらに驚けるほどの低価格のプランを打ち出した通信会社があります。
「日本通信」
b-mobile、日本通信SIMという格安SIMブランドを展開している、歴史のある会社です。
日本通信SIMから衝撃の音声通話付き月290円のプランが誕生
これはびっくりしました。2020年以降、日本通信SIMはいろいろとユニークな低価格プランを打ち出して(後述)注目されているのですが、まさかここに来てさらに低価格のプランを出すとは驚きです。
その名は「合理的シンプル290プラン」。
2022年1月27日に提供開始したこのプランは、音声通話付きであるにもかかわらず月1GBまでの通信ができて、なんと月290円なのです!
合理的シンプル290プランの概要
・データ通信が月1GBまで使えて月290円(税込み)
・1GB以降も1GBあたり220円(税込み)で利用可能
・設定した上限値まで1GB単位で自動で追加される
・上限値は最大100GBまで設定可能
・上限値はいつでも変更可能で即時反映
・使用データ量が上限値を超えると通信できなくなる
(日本通信のサイトとマイページはアクセス可)
・音声通話付き。30秒11円(税込み)。専用アプリ不要
いいですね、これ。月1GBまでしか使わない人は月290円ポッキリですよ。間違って1GB超えちゃっても510円です。それがイヤなら上限を1GBに設定しておけば良い。言わば上限付き完全従量制。通信契約の理想型であり、最終形のような気がします。
もちろん、常に月10GB以上使う人にはもっと安いプランが他社にもありますが、ほとんどの人にはこれで良いんじゃないかと思います。本当に「合理的」です。よくもここまで無駄を剃り落としたプランが作れましたね。どんな使われ方をしても通信会社の利益はわずかだと思います。
一般的に3GBとか5GBとかのプランで契約しても、実際にギリギリまで使う人もいればほとんど使わない人もいます。だから通信会社には利益が出ます。でもこのプランはほとんど使わない人からは290円しか取れません。本当に大丈夫なんでしょうか?(^_^;)
あまり音声通話をせず、月に3GB程度しか使わない人にはこのプラン一択です。でも、常に1GB以下の人は楽天モバイルとの比較になります。楽天は1GB以下ならゼロ円ですが、上限が設定できませんし、通話料が2倍です。
私の場合は月に4~6GB使うので少し微妙です。通話も多少することを考えると、その上の「合理的みんなのプラン」の方が良いかもしれません。(6GBに70分の無料通話がセットになって月1,390円)
さらに、このプランには音声通話のオプションがあり、これも魅力的です。
合理的シンプル290プランのオプション
・国内通話70分無料が700円(税込み)
・国内通話かけ放題が1,600円(税込み)
この「国内通話70分無料」が絶妙だと思います。昔のガラケー時代のプランにはよくあったのですが、最近は「5分(または10分)の通話が何回でもかけ放題」というタイプに置き換わってしまいました。私は月に何回かしか音声通話をかけませんが、一度かけると長く話すこともあるので、「70分無料」の方がありがたいです。
さてさてどうなるかな、日本通信SIM。
もしかしたらこのプラン、ブレイクするかもしれませんよ?
それではこのあと、この「日本通信」がどんな会社なのかというお話と、他のプランについて説明をしますね。
日本通信はMVNOの功績者
「日本通信SIM」というのは日本通信が提供している格安SIMのブランドの1つです。
日本通信という会社は、携帯電話の通信会社としてはそれほど知名度が高くないですが、この業界では大きな功績を残している会社なのです。
「MVNO」というのがあります。これはMobile Virtual Network Operator」の略称の略で、自分自身で通信網を持っているdocomo、au、ソフトバンクなど大手通信会社から回線を借りて提供している通信サービスのことを言います。
このシステムがあるおかげで、中小の事業者が大規模な設備投資なしに携帯電話やスマホ用の通信サービスを始めることができ、しかも安く提供することができます。昨今の「格安SIM」と呼ばれるサービスはほとんどこのシステムを利用しています。そして、日本通信という会社は、
日本で一番最初にMVNOを始めた会社
なのです。
もしかしたら、日本通信が無かったら格安SIMという存在が現代に無かったかもしれません。MVNOの父、格安SIMの母、ですね。(Noah命名)
スマホというものがまだ存在していない1999年に法人向け携帯電話としてMVNOというシステムを成功させた日本通信は、その後も粘り強く大手通信会社と交渉し、納得いかないときは総務大臣に裁定を求めて、様々な権利を勝ち取ってきました。それが近年の好調に繋がっているようです。
音声通話値下げを求め総務大臣裁定を申請
時代はスマホ時代となり、日本通信は2011年よりb-mobileというブランドで格安SIM(これも日本第1号)を展開してきましたが、パッとしませんでした。やっぱり大手とは知名度で雲泥の差があったからなのかもしれません。
私個人の印象としては商品にインパクトが無かったような気がします。私が格安SIMを検討したときにかなりいろいろ調べましたが、b-mobileはほとんど印象に残ってなかったので・・・。
そして日本通信は音声通話料金の値下げを目指してdocomoと交渉を始めます。これがうまく行かなかったため、総務大臣に裁定を申請。
なんかすごい話なのですが、結果これがうまく行き、音声通話を原価で調達できるようになったのです。歴史的偉業ですね。
このおかげで、低価格の音声通話を全面に押し出した料金プランを作ることができるようになり、新たなブランド「日本通信SIM」が誕生しました。
2021年度に7年ぶり黒字化
その日本通信が、2021年度に収支の黒字化に成功しました。7年ぶりだそうです。
好調の要因はやはり前述の音声通話。格安SIMではあまり見られない「70分無料」が付いたプランや「音声完全かけ放題」が付いたプランが人気なのだそうです。
・70分の無料通話&データ20GBで月2,178円の「合理的20GBプラン」
・70分の無料通話&データ6GBで月1,390円の「合理的みんなのプラン」
・音声かけ放題&データ3GBで月2,728円の「合理的かけほプラン」
どれも魅力はありますよね。
背景にはテレワークで高まった音声通話の需要があるとのこと。うまく時代の流れに乗った感じですね。特に法人用のプランの需要が大きかったようです。確かにビジネスに必要な長時間の通話に対して、まともな通話料金を払ったらすごい経費になりますからね。企業としては音声通話付きで安いプランを提供している通信会社は魅力でしょう。
そういった時代の流れを読んで戦略を仕掛けた日本通信。素晴らしいです。
日本通信SIMのプラン一覧
最後に、現段階で提供されている日本通信SIMのプランを紹介します。
・データ1GBで月290円で追加220円/GBの「合理的シンプル290プラン」
・70分の無料通話&データ20GBで月2,178円の「合理的20GBプラン」
・70分の無料通話&データ6GBで月1,390円の「合理的みんなのプラン」
・音声かけ放題&データ3GBで月2,728円の「合理的かけほプラン」
・70分の無料通話&データ3GB&健康アプリFiNCで月1,738円の「Wスマートプラン」
私の使い方だと多分「合理的みんなのプラン」がぴったりです。ただ、日本通信SIMには「繰り越し」という概念が無いので、その部分で検討の余地があります。6GB超えたら、追加料金になってしまいますからね。
あと、「合理的シンプル290プラン」が出たおかげで「合理的かけほプラン」を選ぶ人がいなくなるのではないでしょうか?
「290プラン」でかけ放題付けて3GB使ったら、
1,600+290+220+220 = 2,330円
で合理的かけほプランより安くなります。しかも追加のギガが安い。んー、合ってますよね? なにか見落としてます?
強いていえば上限を超えた際に通信できなくなってしまうというデメリットがありますが、追加ギガが安いのであまり気にならないような?
まあ、何にしても最近出た「合理的シンプル290プラン」が圧倒的に思います。
私も今は「povo2.0+楽天モバイル」のデュアルSIMで運用しておりますが、まもなく楽天の無料サービス期間が終わるので、見直さなければなりません。
日本通信SIMは大きな1つの候補となりそうです。
※この記事は2022年2月に別ブログに投稿したものを転載したものです