超深宇宙領域「ハッブル・ウルトラ・ディープ・フィールド」

2020年5月25日

みなさん、この画像、何の画像だと思いますか?
星空の写真? それにしては、星の粒が大きいと思いませんか。
 



ハッブル望遠鏡というのがあります。この望遠鏡が実にすごいもので、なんと宇宙空間に浮いている望遠鏡なんです。

  ハッブル望遠鏡の実写写真  Wikipediaより引用
  ハッブル望遠鏡の実写写真  Wikipediaより引用

この画像、イメージ写真ではなく実写の写真です。スペースシャトルから撮ったらしいですね。このようにハッブル望遠鏡というのは、地球から600km上空の軌道上を周回している望遠鏡なのです。長さ13.1m、重さ11トン。1990年に打ち上げられ、6度に渡るスペースシャトルによる修理と改良を経て現在に至ります。

地上に置いた望遠鏡での天体観測の大きな欠点は、大気や影響を受けてしまい、精度の高い観測ができないことにあります。その点、宇宙空間にあるハッブルは非常に高い精度の観測が可能です。
 

長時間露光というのがあります。これはカメラの撮影技術のひとつなのですが、微弱な光の被写体を、長時間シャッターを開きっぱなしにすることで鮮明に写す技術です。夜景の写真や星空の写真などは、ほとんどこの長時間露光で撮影されています。私もときどきやりますが、街明かりが少ない場所で、10分ぐらいシャッターを開きっぱなしにすると、とてもキレイな星空の写真が撮れます。
 

さて、冒頭の話に戻ります。ここまでの話の流れでわかるとは思いますが、、、
大気の影響を受けないハッブル望遠鏡を使って、星も何もない局所的な空間を長時間露光した写真、それが冒頭の写真です。2004年にNASAが公開し、「ハッブル・ウルトラ・ディープ・フィールド」と呼ばれています。

  ハッブル・ウルトラ・ディープ・フィールド  Wikipediaより引用
  ハッブル・ウルトラ・ディープ・フィールド  Wikipediaより引用

南天の「ろ座」の一角に位置する領域で、星が全く存在しないごく狭い領域(角度にして1度・月の直径の1/10程度の領域)をハッブルで11.5日間露光したそうです。星が全く存在しない・・・・。じゃあ、写っているのはなんなのか?



そうです。
これらは全て「銀河」なのです。
この写真に写っているのは、私たちの銀河の外側の宇宙。
実に1万個以上の銀河が写し出されています。
 

上の写真の左上の部分を拡大してみます。

   ハッブル・ウルトラ・ディープ・フィールドの拡大
   ハッブル・ウルトラ・ディープ・フィールドの拡大

ぜひクリックしてさらに拡大して見てみてください。SF映画に出てくるような渦を巻いた星雲がたくさんありますよね。これが創作のCGではなく、本当に光学的に撮影された写真だということが衝撃です。宇宙には、その一部を覗いただけでも、こんなにたくさんの銀河が存在しているんですね。さらに言うと、この一粒一粒の銀河の中には、それぞれ約一兆個の星があるそうです。まさに「天文学的な数字」ですね。

これらの銀河はいったいどれぐらい遠い世界に存在しているのか? 最も遠いもので約130.6億光年という話です。もう考えるのはやめた方がいいかもしれません。

純粋に、、、宇宙の神秘と美しさを楽しむこととします。