赤と青の雷。ハワイで2種類の「超高層雷放電」を同時に撮影成功。レッドスプライト、ブルージェットと呼ぶらしい

すごい写真を見つけたのでシェアします。
ハワイのジェミニ天文台が撮影したもので、赤い雷と青い雷が同時に写っています。

私が見つけたのは上記のニュース記事ですが、写真の元データはこちら(広告の下)にあります。
フルサイズのオリジナル画像もダウンロードできるので、興味のある方はどうぞ。



超高層雷放電、レッドスプライト、ブルージェットという発光現象

それにしてもすごい写真ですね。右側下方にある光るドーナッツみたいなところから、上向きに稲妻が伸びており、色が「白→青→赤」と変化しています。

説明が無いとわからないのですが、この光っているドーナッツが雨雲のようです。通常、雷というものは雨雲から地面に向かって落ちていきますよね。その雨雲から上に、要するに宇宙に向かって雷が落ちる、いや昇るってことがあるんですね、これはビックリ。

この雨雲から上に伸びる稲妻は「超高層雷放電(ちょうこうそうかみなりほうでん)」と呼ばれる現象で、その名の通り、高度20~100kmという超高度で発生する放電による発光現象だそうです。

高度20~100kmというと、成層圏・中間圏・下部熱圏にあたります。ホリエモンのロケットが上空100kmを超えることを目標としていましたが、それはそこから先が「宇宙」と呼ばれているからなんですよね。なので、この超高層雷放電は、宇宙の手前まで届いているということになります。

そして、
この上の赤い稲妻の部分は「レッドスプライト」と呼ばれており、主に中間圏で発生するようです。
その下の青~白い稲妻の部分は「ブルージェット」と呼ばれており、主に成層圏で発生するようです。

私も実際にこの放電現象を見てみたいですが、これらは雨雲の上で発生するので、通常は観測するのがとても難しいようです。この写真のように、雨雲を横から見られるようなロケーションから観測するか、雲の上を飛ぶ飛行機や宇宙ステーションから観測するしかありませんね。

しかも、放電は1/10秒ぐらいで終わってしまうので、それを視認するのは難しいかもしれませんね。ん?なんか光った?って感じかと。実際、この超高層雷放電が始めて撮影された1989年までは、「目の錯覚」と言われていたそうです。

 



なぜ雨雲の上方に雷が発生するのか?

ではなぜ、雨雲から宇宙に向かって雷が発生するのでしょうか?

雷というのは、電気の流れであることは周知の事実ですが、雨雲と地球(地面)の電位の差によって、放電が発生します。一般的に雨雲の法が電位が高いので、プラスの電荷が地上に向かって放出されることが多いようです。

もし、どんどんプラスの電荷が地面に落ちていったら、雨雲の中ではマイナスの電荷だけが増えていくことになります。通常はプラスの電荷とマイナスの電荷が対になっていますからね。

そこで、貯まってしまったマイナスの電荷は宇宙に向かって放出される、ということらしいです。そうやって電気的なバランスを取ってるんですね。

とは言え、この超高層雷放電については、まだまだ研究途中の現象のようなので、分かっていないことも多いようです。これから新しい事実が発見されることもあるんでしょうね。2021年のサイエンスでも分からないことがあるというのは、なんだか楽しくなります。宇宙は不思議がいっぱいなのですね。

 
私はカメラを趣味にしていますが、昔から「雷の写真」を撮ってみたいと思っていました。でもまだ成功していません。あんな一瞬の出来事を捉えることは至難の業ですし、そもその雷の日に撮影に出かけること自体、大変なことです。

そういうことを考えると、今回のこの超高層雷放電の写真はとても貴重な一枚ですよね。私もこんな写真を撮ってみたいです(笑)