再びネオワイズ彗星の撮影。今度はキレイに撮れました。画像処理ソフト・YIMGのレビューも

前の記事で2020年7月15日にネオワイズ彗星の撮影に成功したという話題を書きましたが、その3日後の7月18日にはさらにキレイなネオワイズ彗星の写真が撮れたので、シェアします。ちょっとバタバタしていて、投稿が遅くなりました。

2020年7月18日 20:20頃に撮影したネオワイズ彗星。札幌にして。

 

今度は真剣に撮影

前回の7月15日は、肉眼でも見えず、夕方に撮影したという報告もない中で、本当に写るのか半信半疑で撮影していたので、三脚も使わずに適当な撮影でした。後でパソコンで見てみたら「あ、写ってた」というレベルです(笑)

今回(7/18)は、15日の経験で彗星の位置もカメラの露出もわかったので満を持して撮影に臨みました。まあ、家庭の事情で夜は自宅の窓やベランダからしか撮影できないのですが・・・

前回は手持ちだったので、長時間露光が出来ず、1/20秒というシャッタースピードで撮影しました。でも彗星はこの段階で2~3等級と暗かったので、ISOを6400に設定して撮影しています。



その点、今回は三脚を使用したので、1.6秒というシャッタースピードで撮影しています。もっと長時間の露光も露光も可能ですが、経験上5秒を越えると地球の自転のせいで、星が点ではなく楕円や線になってしまいますので、今回は1.6秒としました。ISO感度はノイズが目立たない1600に設定しています。レンズはEF50mm F1.8 STM。絞りは開放のF1.8です。

そして撮れたのがこの写真。

2020/7/18 20:27のネオワイズ彗星。50mm 、F1.8、1.6秒、 ISO1600。トリミング無し。色・明るさの調整無し。

 
露光しすぎじゃね?と思われるかもしれませんが、天体写真はあとでトーンカーブを補正するのでこれでオッケーです。画面が真っ白になるぐらいまで露光しないと、淡い光の天体は写ってくれません。

ただし、カメラの設定で写真をRAWで出力するようにしておいた方がよいです。JPGだと24ビット(三原色が各256階調)なので白飛びしてしまう可能性がありますが、RAWなら48ビット(三原色が各65536階調)なので、よほど露光しすぎない限り白飛びの心配はありません。

そして、これと同じフレームで4枚撮影して合成(加算平均合成)しました。そうすることで、天体は4倍の明るさになりますが、ノイズは約1/4に軽減します。今回は、この合成に「YIMG」というフリーソフトを使用しました。これについては後述します。

そしてさらにバックグラウンド補正(背景のノイズを除去し、色調も整える補正)を行ったのが、下の画像。

画像の合成とバックグラウンド補正が終了した画像。

 
なんとなく「それっぽく」なりましたよね?
あ、隣の家の煙突とかを削除するためにトリミングもしています。

さらにトリミングしたのが、冒頭の画像です。

2020年7月18日 20:20頃に撮影したネオワイズ彗星。札幌にして。

 
この30分後に撮影したものもアップしておきます。こちらはバックグラウンド補正のやり方を変えたので、街明かりのオレンジ色(ナトリウム街灯の色?)が残っています。

2020/7/18 21:04のネオワイズ彗星。

 
こちらはシャッタースピードを3.2秒に変更して同じく4枚撮影し合成しています。露光時間が倍になっているので、上の写真では写っていない星まで写っていますね。天体写真っぽいです。

ここのところ「なんちゃって天体カメラマン」をやってきましたが、ようやくこのレベルに達しました。実は少し感動しています(笑)

 

天体写真用画像処理ソフト「YIMG」

今回、ネオワイズ彗星の写真を加工するのに、初めて天体写真用の画像処理ソフトを導入しました。天体写真用のソフトは有料・無料さまざまあるのですが、その中から、田中勇司さんが開発した「YIMG」というフリーソフトを選びました。

 
田中さんは趣味でプログラミングをやっている方らしいです。仕事の傍らでこんなソフトを作ってしまうなんてすごいです。RAWデータをそのまま読み込んで加工できるなんてサイコー。48ビットの階調が失われずに済みます。

いろいろと至れり尽くせりのソフトなのですが、正直まだあまり使いこなせておりません。今回、利用したのは、画像の合成とバックグラウンド補正のみです。

これまで、画像処理はすべてGIMPというフリーのレタッチソフト使っており、このソフトはこのソフトで超人的な素晴らしさなのですが、なにぶん天体写真用には作られていないため、画像の合成などはすべて手動でものすごく手間がかかりました。



でも、YIMGで合成したら、ほんの数秒。しかも精度が高い。これには感動を通り越して唖然としてしまいました。

そしてバックグラウンド補正。GIMPでやっていた頃は、トーンカーブを一生懸命いじって、なんとか背景(空の部分)と天体(星の部分)を分離していましたが、これを使うと、なんと一瞬で背景が真っ黒になる! 今までの苦労は一体何だったんだ、というレベルです。

田中勇司様、素晴らしいソフトをありがとうございます!

 

調子に乗ってアンドロメダ銀河(星雲)の撮影にもチャレンジしてみた

完全な余談ですが、こんな素晴らしいソフトがあったら、アンドロメダ銀河(星雲)も撮影できるんじゃね?と調子に乗ってチャレンジしてみました。アンドロメダは小学生の頃からの憧れですからね~。星野鉄郎と一緒に銀河鉄道999に乗ってアンドロメダまで行ってきたぐらいです(何の話だ?)

まあ、結論だけ書きましょう。そのときの成果品がこれです。

ん?
どこどこ?
アンドロメダ銀河はどこだ?!

ちょっと星の位置関係を整理してみよう。


(上の黒い部分は撮影後に私が画像として付け足したエリアです)

あ・・・・

そうです。
写真自体はとてもキレイに撮れているのですが、アンドロメダ銀河はフレームの外でした(涙)

撮り直そうと、もう一度窓を開けたのですが、雲が多くなっていて試合終了。

まあ、アンドロメダはいつでも撮れるか・・・(笑)