アトラス彗星、崩壊か? 徐々に明るさが減衰している模様

2020年6月5日

1997年に訪れたヘール・ボップ彗星。(wikipediaより引用)

アトラス彗星・・・
私がその彗星の噂を聞いたのは今年の3月上旬。
5月下旬には地球に接近し、全天で最も明るい恒星・シリウスよりも明るくなるかも、という情報に大歓喜していました。

最近、天体写真に目覚めてきている私は、フィルターを用意したり、望遠レンズでの星空撮影の練習をしたり、準備を進めていました。コロナ禍(「ころなか」と読むらしい)で憂鬱な日々が続いている中で、数少ない楽しみの1つでした。

しかし、4月に入って、気になるニュースが入ってきました。
 
【【速報】アトラス彗星がピンチ!?(星のつぶやき様)】
 
この記事によれば、太陽に近づくほどに明るくなるはずの彗星が、減光し始めたというのです。

 



アトラス彗星 (C/2019 Y4)の概要

さて、まずはアトラス彗星ってなんぞや、というお話。
2019年12月28日、ATLAS(小惑星地球衝突最終警報システム)の観測で新しい彗星が発見され、その彗星はその後、そのシステムから名をもらい、ATLAS彗星と名付けられました。記号はC/2019 Y4です。

2020年2月の段階では、北斗七星付近に位置しており、地球からの距離は約1.1au、太陽からの距離は約1.7au。この段階では17等級ぐらいの明るさで、まだ肉眼で見えるものではありませんでした。

2020年4月1日の段階では、きりん座の位置まで移動しており、明るさは7等級ぐらい。肉眼では少し厳しいですが、双眼鏡を使えばなんとか見えるレベルまで増光してきていました。

今後、少しずつ西に移動し、5月下旬には夕方西の地平線近くに明るく輝く彗星になることが予想されていました。当初の予想では、驚くことに-10等級ぐらいの明るさになる可能性もあったようです。これは満月に匹敵するような明るさです。本当にそんなことになったらファンタジーのような天体ショーですよね。

しかし、3月中旬から増光するペースが鈍り始め、予想は下方修正されました。それでもシリウスぐらいの明るさになるということでとても期待していたのです。いたのですが・・・・

アトラス彗星 (C/2019 Y4)の減衰、そして崩壊(?)

そして冒頭で紹介した記事に戻りますが、4月4日に投稿されたこの記事によると、3月31日あたりをピークとして、アトラス彗星が暗くなっていている、ということです。

彗星というものは一般的に太陽のエネルギーを受けて、輝き、そして尾が長くなるので、太陽に向かって飛んでいるアトラス彗星が減光するはずはありません。オーストラリアの天文家であるテリー・ラヴジョイさんの観測データが元になっている情報ですが、これが本当ならアトラス彗星に異変が起きていることになります。

心配になった私はテリー・ラヴジョイさんのツイッターをフォローして、その後の情報に注目しました。

2020/4/3のツイート(上のブログ記事の元ネタになったツイート)

要約:「彗星は本来明るくなっていくはずですが、直近の3つの観察では減衰しており、良い兆候ではありません。」

 
2020/4/7のツイート



要約:「C/2020 Y4彗星は衰退を続けており、崩壊の兆候が見られます。」

 
2020/4/10(本日)のツイート

要約:「ATLAS彗星は、単一の彗星ではなく、複数の物体のように見え始めています。」

 
これがトドメです。
おそらくアトラス彗星は崩壊してしまったのでしょう・・・。なんてこった(涙)

上で紹介したブログ「星のつぶやき」でも、こんな記事が。

【【悲報】アトラス彗星(ほぼ)終了のお知らせ】

やっぱり終わりなんだ。専門家から聞くとなおショックです。

ただ、この記事によると、太陽に近づいた彗星が崩壊するのは珍しくは無いようですね。大きな引力やエネルギーを受けますので、当然といえば当然ですね。

分裂したアトラス彗星の核が今後どのような動きをするかはわかりませんが、シリウスのような輝きはもう期待できないようです。でも、全く見えなくなるわけでは無いようなので、カメラを磨きながらもう少し動向を追ってみようと思います。