宮崎県・幸島の野生の猿のイモ洗いと百匹目の猿現象

今回は宮崎県にある無人島のお話。
九州、宮城県串間市の沖合いにある幸島(こうじま)は野生のニホンザルが生息していることで有名です。その数、約90頭。面積0.35平方キロメートルという小さな無人島なのですが、そんな閉鎖的な場所に何故猿が居るのか、詳しいことはわかっておりません。現在、その生息地である島全体は国の天然記念物に指定され、文化財保護法によって保護されています。

場所はここ。



島は島なのですが、九州本土から200mしか離れていません。本土との間の海は浅瀬で、年々少しずつ砂が堆積してきており、近年では干潮時に歩いて島に渡れるらしいです。どれぐらい先かはわかりませんが、将来は島ではなく半島になりそうですね。

串間市の公式動画に、幸島の風景と猿の様子がありましたので紹介します。とても素晴らしい風景ですよ。

 

イモを洗って食べる文化を持つ猿たち

ここに住む猿たちはただの猿ではありません。なんと、「人間以外の動物でも文化を持つ」ということを証明した猿たちなのです。

幸島は無人島ですが、島内に京都大学の研究施設があり本格的な猿の研究を行っています。戦後まもないころ、研究員が猿の餌付けに成功し、それ以降、猿の一頭一頭に名前を付け、家系図まで作って観察しているらしいです。

そして1953年、研究員が猿にサツマイモを渡したら、一頭の猿(名前は「イモ」らしい(笑))が、砂のついたサツマイモを小川の水で洗ってから食べたんだそうです。

たまたまその個体が神経質だっただけかもしれませんが、そのうち他の猿も同じように洗うようになったとか。それから数年の間に、その風習は島全体のニホンザルに広がり、半数以上の個体がイモを洗って食べるようになったとのことです。

この「芋洗い行動」は、時代を越えて猿たちに受け継がれていることから「文化である」と言われています。それまで、人間固有のものであると思われていた文化が、猿にも存在することがわかったのです。



 

百匹目の猿現象

ここまででも面白く興味深い話なのですが、実はこの話には続きがあります。かなりびっくりするような話なんですよ。

生物学者であるライアル・ワトソン氏の著書「生命潮流」(1979年)によると、幸島の猿のイモ洗いは、最初は1頭の猿から始まり、少しずつ広がっていったが、同じ行動をとる猿の数が一定の数(著書では便宜上100匹とされている)を超えたとき、何かでリンクされたように急激に群れ全体に広がったそうなんです。しかも驚くことに、全く交流の無い離れた場所(大分県高崎山)の猿の群れにおいても突然この行動が見られるようになったとか。

ワトソン氏の著書において、100匹目の猿が例として挙げられていたため、このことは「百匹目の猿現象」と呼ばれており、ある行動などが、とある一定数を超えると、これが接触のない同類の仲間にもテレパシーのように伝わっていく、という伝説となっています。
 
って、

そんなバカな(汗)
 
ナイナイ。ありえませんって・・・・

事実、幸島の猿は全員がイモ洗い行動をしていたわけではありませんし、誰かが他県の群れとの関連性を確認したという事実も無いようです。

と言うことで、現在ではこの話は「架空の物語」とされておりますが、幸島の対岸にはこれについての石碑があります。

幸島の対岸にある「百匹目の猿現象発祥の地」の石碑(Wikipediaより)

まあ、ウソだったとしても、こういう都市伝説のような話は面白いですね!