JR新千歳空港駅を移転改修し複線化・直通化へ。道南、道東方面の特急が直接乗り入れ可能に

現在のJR新千歳空港駅の改札(wikipediaより引用)

 

JR新千歳空港駅の移転・拡大計画

今回は鉄道のお話。JR新千歳空港駅の移転改修構想がニュースになりましたね。
現在盲腸線の末端の駅であるJR新千歳空港駅を移転改修し、南側(苫小牧・函館方面)へ直通運転ができるようにしよう、という計画です。

一昨年ぐらいに国土交通省がそんな話をしていたのですが、莫大なお金がかかる上にJR側にあまりメリットが無いと思ったので、実現することは無いだろうなと思っていたんです。でも、北海道7空港一括民営化の運営者が決まってから再び話が進み出したようです。今朝の北海道新聞の記事によると、まもなく新千歳空港の運営を開始する予定の北海道エアポートグループ(HKK中心とする企業連合)とJR北海道が、現在検討を行ってるとのことです。



ただ、2030年完成予定と結構気の長い話です。札幌オリンピックに間に合わせる、という感じでしょうか?

 

現在の新千歳空港駅周辺の状況と問題点

JR新千歳空港駅は、新千歳空港ターミナルビルの地下に位置し、一日の乗車人数は2万人弱と大いに賑わっている駅なのですが、現在のところ大きな問題点を抱えています。

2019年現在の千歳空港周辺のJR路線図(国土地理院地図に筆者が加筆修正を行った図)

上の図は現在の路線図ですが、これを見ると新千歳空港駅が南千歳駅から分岐した盲腸線の末端の駅だと言うことがわかります。苫小牧行き、室蘭行き、函館行き、帯広行き、釧路行きなどの列車は新千歳空港駅に寄りません。新千歳空港駅行きの列車(ほとんどが快速電車)だけが南千歳駅から分岐して盲腸線に入ります。

まあ、札幌から出発する場合は、最初から新千歳空港行きの電車に乗れば良いので大きな問題にはなりませんが、函館・室蘭・苫小牧方面と釧路・帯広方面から新千歳空港に行くお客さんは、南千歳駅で一度降りて乗り換えなければなりません。これはかなり利便性が悪いです。

それと、新千歳空港発着の航空機の二次交通として大きなウェイトを占めているJRなのですが、現在のところ、輸送能力がいっぱいいっぱいで、今後これ以上航空機の発着枠を拡がると、現在の列車本数では捌ききれなくなってしまいます。今年3月のダイヤ改正で、札幌駅-新千歳空港駅間の本数を一時間4本から5本に増やしますが、現在の設備ではこのあたりが限界のようです。

これらをいっぺんに解決しようとしたのが、今回明らかになった移転改修計画です。

 

JR新千歳空港駅移転改修計画の概要

まだ細かい部分は公表されてない(というか決まってないのかも)のですが、改修計画の概要は以下のとおりです。

新千歳空港駅の移転改修イメージ(国土地理院地図に筆者が加筆修正を行った図)

この図は私が適当に描いたものなので、あくまでもイメージと捉えてください。
今回の計画の最も大きな点は、新千歳空港駅からさらに南方向(苫小牧方向)に線路を延ばして、盲腸線を解消しようというところです。そうすることで、苫小牧方面の普通列車、室蘭・函館方面の特急列車も直接乗り入れすることができるようになるので、利便性がかなり良くなりますね。かつ、輸送能力も大幅にアップします。



ただ、こうなるとものすごい本数の列車が新千歳空港駅に停車するようになりますので、現在のような1面2線のホームでは、逆にボトルネックになってしまいます。ということで、ホームについてもこの移転改修で2面4線以上に拡大するとのことです。

さらに、これが大変だと思うのですが、帯広・釧路方面へも直接乗り入れができるように計画しているようです。これが実現すれば、素晴らしいことになりますが、上の図でもわかるように南千歳で分岐している釧路方面の線路を、新千歳の南側に振り返るのはかなりの大工事になります。平行している千歳線とは話が違いますよね。

二年前にその記事を読んだときは、「そこまでお金をかけて、それだけの経済効果が得られるのか?」と思ったのですが、いまそれを真剣に検討しているということは、勝算があるんでしょうね。おそらく、現在の釧路方面のJR利用者の数だけでは話にならないと思うので、この改修を行うことで、

新しい空港利用客の流れを作ろうとしている

のかもしれません。

まあとにもかくにも、この大事業が実現したら人の流れも大きく変わるでしょうし、同じ年に北海道新幹線も札幌まで延伸する予定なので、すごいことになりそうです。どんな世界になるのか私には想像もできません。

ただ、とてもワクワクする話ですし、北海道も少しずつ未来に進んでいる、という感じがしますね。

ん~~~、、、ロマンだ!!