ベテルギウスに超新星爆発の前兆。爆発するとどうなる? 地球への影響は?

2020年5月25日

超新星爆発するベテルギウスのイメージイラスト(ESOによるイラスト)Wikipediaより

 

短期間に明るさが半分以下になったベテルギウス

冬の夜空に輝くオリオン座。みんなが子供の頃から見ていた、世界でも最も有名な星座の1つですね。
その一角を担う一等星・ベテルギウスに異変が起きています。もしかしたら、私たちは見慣れたオリオン座の一角を失うかもしれません。

オリオン座とベテルギウス(左上のオレンジ色の星)の写真(NASAのサイトより引用)

 
もともとベテルギウスは変光星として知られており、その明るさ(視等級)は公式に0.42等級とされているものの、0~1.3等級の間で変動していました。(1.5等より数字が小さければ一等星)

しかし、近年徐々に暗くなっていることが報告されており、さらに、2019年10月からの2ヶ月間で、なんと明るさが半分以下になっているそうです。いつもは何万年とか天文学的な数字のスケールで語られる宇宙の中で、こんな急激な変動というのはものすごく異常な事態ですよね。



そのおかげで、全天で9番目に明るい星だったベテルギウスは、2019年12月末現在では23番目にまで後退しています。そうです。今のベテルギウスは一等星ではないのです。
 

超新星爆発の前兆か?

これだけの情報では正確な判断が出来ないらしいのですが、この現象は超新星爆発の前兆とも言われています。

そもそも超新星とは何か? Wikipediaによればこのように表現されています。

超新星(ちょうしんせい、英: supernova)は、大質量の恒星が、その一生を終えるときに起こす大規模な爆発現象である。

はい。大きな恒星が寿命を迎えるときに爆発する現象を「超新星爆発」というんですね。名前に「新星」という文字が入るので勘違いされることがあるのですが、決して新しい星が誕生する現象ではありません。

ベテルギウスは、直径が太陽の約1000倍という超巨大恒星で、地球から約642光年も離れた位置にあるにもかかわらず、太陽を除くと全天で最も大きく見える恒星です。(明るさではなく目に見える大きさ(視直径)の話です。また、恒星の中でという意味なので、金星や木星などの惑星は含まれません。)

どれぐらい大きいかを太陽系のスケールで例えてみると、太陽の位置にベテルギウスを置いた場合、なんと火星の軌道の外側まで達してしまうということです。1つの天体がその大きさということが上手く認識できませんね。呆れるぐらい大きい、という感じです(笑)

で、質量の大きな天体というのは、核融合反応の進行が激しいため一般的に短命であり、約1000万年前に誕生したベテルギウスは「そろそろ寿命」であることは前々から言われていました。

でも、先ほども書いたとおり、宇宙の話はそれこそ「天文学的な数字」で語られるので、その「そろそろ寿命」も、何十万年後とかそういうスケールの話なのですが、こんな2ヶ月で半分に明るさになったとか言われると、本当に終焉を迎えているような恐ろしさを感じますね。

 

ベテルギウスが超新星爆発を起こしたらどうなるのか?

さて、気になるのはベテルギウスが超新星爆発を起こしたらどうなるのかというところですよね。これがすごいらしいです。

西暦1054年7月4日に世界各地で観測された「SN 1054」の超新星爆発現象は、昼間でも明るく輝いていたと言われており、その最大の明るさは-6等級だったと言われています。金星(最大-4.7等級)よりも明るかったということですね。

ベテルギウスは、そのSN 1054と比べて1/10の距離にあるので、さらに明るく輝くことが予想されます。しかも、この超新星爆発というのは、3~4ヵ月ぐらい続くらしいので、鮮やかな天体ショーが長い間観測できるかもしれませんね。

その様子をイメージした動画がありましたので、シェアします。



 
これはすごい。是非実際に見てみたいですね。
でも喜んでばかりもいられません。超新星というのは不安も少し付きまとう現象なのです。

 

超新星爆発の地球への影響は?

超新星というのは、恐ろしいことに爆発と共に「ガンマ線バースト」という現象が起きます。これは生物に有害な放射線の1つであるガンマ線(γ線)が大量に放出される現象です。

爆発により、ガンマ線は指向性のある束になって遠方まで到達するので、これの直撃を受けたら地球の生物や環境にどのような影響があるのか想像もできません。

ただし、

超新星のγ線バーストの放射方向というのはある程度決まっていて、基本的には恒星の「自転軸方向」にしか放射されないそうです。現在のところ、ベテルギウスの自転軸は地球の方に向いてないので、とりあえずは影響はないと言われています。

いやいや、これって、1つの脅威ですよね。たまたま大丈夫でしたけど、自転軸が地球に向いていたら、人類は絶滅していたかもしれないとか、冗談でも笑えないです。もしかしたら、恐竜って調整新爆発で絶滅したのでは?

それにしてもベテルギウス・・・
超新星爆発のスペクタクルは見たいですが、オリオン座の一角が無くなってしまうのは強烈に寂しいですね。オリオン座が三角形になっても「オリオン座」と呼ばれるんだろうか??

まあ、○○万年という単位での話なので、私が生きているうちは無いと思うのですが、こんな異常な減光とか聞かされると、あながち遠い話ではないような気がしてきますね。
 
まあとりあえず、今夜はベテルギウスの夢でも観ますか(笑)

 
【追記2020/3/1】

ベテルギウスの減光が止まって増光しだしたようです。
詳細はこちら↓
ベテルギウスは超新星爆発しない?! 謎の減光が止まり明るくなり始めた。